早期胆道癌との鑑別が困難であった胆嚢dysplasiaの1例

「症例」「症例」:72歳, 男性. 「主訴」:なし「既往歴」:50歳 高血圧, 64歳 脳梗塞「現病歴」:2008年7月に血尿を自覚し近医を受診. 腹部CT検査にて胆嚢壁肥厚を指摘され経過観察されていた. 2008年10月1日のCT検査にて胆嚢癌が疑われ, 当科紹介受診となった. 「腹部現症」:腹部は平坦, 軟で圧痛を認めず. 「入院時検査所見」:貧血, 肝障害, 炎症反応の上昇を認めず. 腫瘍マーカーも正常範囲内であった. 図1に超音波検査像を示す. 体外式腹部超音波検査では, 胆嚢底部から体部の肝床側に3cmにわたる胆嚢壁の肥厚部位を認めた(図1a). 超音波内視鏡検査では, 胆嚢底部は7...

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Published in胆道 Vol. 24; no. 1; pp. 135 - 138
Main Authors 北川, 裕久, 中川原, 寿俊, 萱原, 正都, 太田, 哲生, 大坪, 公士郎, 全, 陽, 田島, 秀浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 01.01.2010
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.24.135

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Summary:「症例」「症例」:72歳, 男性. 「主訴」:なし「既往歴」:50歳 高血圧, 64歳 脳梗塞「現病歴」:2008年7月に血尿を自覚し近医を受診. 腹部CT検査にて胆嚢壁肥厚を指摘され経過観察されていた. 2008年10月1日のCT検査にて胆嚢癌が疑われ, 当科紹介受診となった. 「腹部現症」:腹部は平坦, 軟で圧痛を認めず. 「入院時検査所見」:貧血, 肝障害, 炎症反応の上昇を認めず. 腫瘍マーカーも正常範囲内であった. 図1に超音波検査像を示す. 体外式腹部超音波検査では, 胆嚢底部から体部の肝床側に3cmにわたる胆嚢壁の肥厚部位を認めた(図1a). 超音波内視鏡検査では, 胆嚢底部は7mmに肥厚し, 粘膜面は乳頭状に増殖していた. さらにこれと連なり体部にかけても粘膜層の肥厚を認め, 病変の表層進展が疑われた. 胆嚢壁漿膜の層構造は保たれており, 表層進展型胆嚢癌が疑われた(図1b, 1c). 図2にCT像を示す. 胆嚢底部から体部にかけて造影早期からよく濃染される胆嚢壁の広範な不整壁肥厚を認め, 一部乳頭状に突出していた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.24.135