Artery of Percheronの解離に伴い視床梗塞を発症し,その後くも膜下出血を呈した1例

症例は28歳女性.一過性の複視が出現し左視床梗塞を認めた.脳血管造影検査にて右P1から分岐する紡錘状に拡張する血管を確認した.Artery of Percheron(AOP)解離との診断は難しく,虚血発症であり,再発予防としてアスピリンの投与を開始して経過観察していた.しかし,投与開始1カ月後にくも膜下出血を発症し,アスピリンがAOP解離からの出血を惹起した可能性を考えた.本症例は,短期間に虚血およびくも膜下出血を来したこと,また,紡錘状拡張の退縮傾向を認めたことから,その病態はAOPの解離性病変であることが強く示唆された.アスピリンによりくも膜下出血が惹起されたと考えられ,痛恨の症例であった...

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Published in脳卒中 Vol. 44; no. 1; pp. 29 - 33
Main Authors 善本, 晴子, 田中, 聡, 石田, 敦士, 佐藤, 光, 松尾, 成吾, 朝来野, 佳三, 中瀬, 孝, 渋谷, 聡, 加藤, 正高, 平山, 雅啓, 白水, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2022
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10910

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Summary:症例は28歳女性.一過性の複視が出現し左視床梗塞を認めた.脳血管造影検査にて右P1から分岐する紡錘状に拡張する血管を確認した.Artery of Percheron(AOP)解離との診断は難しく,虚血発症であり,再発予防としてアスピリンの投与を開始して経過観察していた.しかし,投与開始1カ月後にくも膜下出血を発症し,アスピリンがAOP解離からの出血を惹起した可能性を考えた.本症例は,短期間に虚血およびくも膜下出血を来したこと,また,紡錘状拡張の退縮傾向を認めたことから,その病態はAOPの解離性病変であることが強く示唆された.アスピリンによりくも膜下出血が惹起されたと考えられ,痛恨の症例であったが,極めて稀な症例であり,文献的考察を加え報告する.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10910