被殻出血を契機に診断に至った先端巨大症の1例

要旨:症例は67 歳の男性.10 年来の高血圧と糖尿病で近医内科に通院していたが,血圧や血糖のコントロールは不良であった.右片麻痺,失語で発症した左被殻出血で入院し,身体所見から先端巨大症を疑い確定診断に至った.リハビリテーションを優先してから下垂体腫瘍の手術を行った.その後も脳梗塞やTIA を反復し,加療とリハビリテーションを要した.当患者の脳出血や脳虚血の背景には,GH 過剰分泌が関与する二次性の高血圧や糖尿病の影響が推定された.コントロール不良の高血圧や糖尿病では,二次性の病態である可能性を再考して鑑別診断すれば,原疾患の診断と治療に繋がり,予後の改善に寄与すると考えられた.先端巨大症患...

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Published in脳卒中 Vol. 42; no. 5; pp. 423 - 428
Main Authors 大井田, 知彌, 井手, 隆文, 有屋田, 健一, 堤, 恭介, 長島, 良, 田中, 健太郎, 柳橋, 万隆, 中村, 安伸, 花川, 一郎, 村尾, 昌彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2020
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10680

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Summary:要旨:症例は67 歳の男性.10 年来の高血圧と糖尿病で近医内科に通院していたが,血圧や血糖のコントロールは不良であった.右片麻痺,失語で発症した左被殻出血で入院し,身体所見から先端巨大症を疑い確定診断に至った.リハビリテーションを優先してから下垂体腫瘍の手術を行った.その後も脳梗塞やTIA を反復し,加療とリハビリテーションを要した.当患者の脳出血や脳虚血の背景には,GH 過剰分泌が関与する二次性の高血圧や糖尿病の影響が推定された.コントロール不良の高血圧や糖尿病では,二次性の病態である可能性を再考して鑑別診断すれば,原疾患の診断と治療に繋がり,予後の改善に寄与すると考えられた.先端巨大症患者の脳血管障害についての報告では,その死亡率は通常よりも高いとされており,高血圧や糖尿病の背景疾患の鑑別による先端巨大症の早期発見と早期治療介入は,先端巨大症の予後改善に繋がることが予測され重要と考えられた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10680