妊娠初期に発症した左中大脳動脈閉塞症に対し急性期再開通療法を施行した1例
【目的】妊婦の脳梗塞に対する血栓溶解療法や血栓回収療法による急性期再開通療法の有効性・安全性については,各種ガイドラインにもその記載はない.今回,妊婦の左中大脳動脈閉塞症に対し,急性期再開通療法を施行した症例を経験したので報告する.【症例】27歳,妊娠10週の女性.全失語および右片麻痺にて発症し,左中大脳動脈閉塞症と診断した.発症後早期にrt-PA投与下で血栓回収療法を行い,完全再開通が得られた.術後の精査にて,卵円孔開存による奇異性塞栓が原因と考えられた.その後,抗凝固療法を継続し,妊娠38週3日で経腟分娩にて正常児を出産,脳梗塞の再発も認めていない.【結語】妊婦への血栓回収療法は比較的安全...
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Published in | 脳卒中 Vol. 44; no. 1; pp. 65 - 69 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2022
日本脳卒中学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
DOI | 10.3995/jstroke.10921 |
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Summary: | 【目的】妊婦の脳梗塞に対する血栓溶解療法や血栓回収療法による急性期再開通療法の有効性・安全性については,各種ガイドラインにもその記載はない.今回,妊婦の左中大脳動脈閉塞症に対し,急性期再開通療法を施行した症例を経験したので報告する.【症例】27歳,妊娠10週の女性.全失語および右片麻痺にて発症し,左中大脳動脈閉塞症と診断した.発症後早期にrt-PA投与下で血栓回収療法を行い,完全再開通が得られた.術後の精査にて,卵円孔開存による奇異性塞栓が原因と考えられた.その後,抗凝固療法を継続し,妊娠38週3日で経腟分娩にて正常児を出産,脳梗塞の再発も認めていない.【結語】妊婦への血栓回収療法は比較的安全に施行することができるが,胎児への影響を十分考慮して行う必要がある. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.10921 |