悪性貧血を背景として脳梗塞を発症し,機械的血栓回収療法により良好な転帰を得た1例

要旨:症例は83歳男性.意識障害にて救急搬送となった.来院時NIHSSは17点で,頭部MRAで左MCA閉塞(M1遠位部)を認めた.頭部CT,MRIで早期虚血変化を認めず,血管内再開通療法の適応があると判断した.血液検査で Hb 3.8 g/dl,MCV 144 flと高度大球性貧血を認め,活動性消化管出血が否定できないことから,rt-PA静注療法は施行しなかった.輸血療法および機械的血栓回収療法を迅速に施行し,左中大脳動脈の完全再開通を得た.上部消化管内視鏡検査にて慢性萎縮性胃炎を認め,血清 vitamin B12 値の低下を認めたことから,悪性貧血による高度大球性貧血と診断した.入院後,抗凝...

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Published in脳卒中 Vol. 43; no. 5; pp. 447 - 451
Main Authors 権, 泰史, 福村, 匡央, 村瀬, 翔, 黒田, 雄三, 牧, 貴紀, 中澤, 和智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2021
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10870

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Summary:要旨:症例は83歳男性.意識障害にて救急搬送となった.来院時NIHSSは17点で,頭部MRAで左MCA閉塞(M1遠位部)を認めた.頭部CT,MRIで早期虚血変化を認めず,血管内再開通療法の適応があると判断した.血液検査で Hb 3.8 g/dl,MCV 144 flと高度大球性貧血を認め,活動性消化管出血が否定できないことから,rt-PA静注療法は施行しなかった.輸血療法および機械的血栓回収療法を迅速に施行し,左中大脳動脈の完全再開通を得た.上部消化管内視鏡検査にて慢性萎縮性胃炎を認め,血清 vitamin B12 値の低下を認めたことから,悪性貧血による高度大球性貧血と診断した.入院後,抗凝固療法および vitamin B12 補充療法を導入の上,第13病日に後遺症なく退院した.脳梗塞急性期において,血管内再開通療法の適応を判断する際にも,貧血を含めた基礎疾患の確認と全身管理を並行して行うことが重要である.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10870