Cell Track Prepシステムを用いた末梢血循環前立腺癌細胞検査の臨床応用の可能性(平成18年度杏林大学医学部研究奨励賞中間発表,第35回杏林医学会総会)

【目的】Cell Track Prepシステム(Veridex社)を用いて前立腺癌患者の末梢血循環癌細胞の検出を行い, 臨床経過を検討した. 【対象と方法】健常ボランティアの末梢血に前立腺癌細胞株(PC3-DU145, LNCaP)混和し, Cell Track Prepシステムで同定および感度を検討した. このシステムの原理はEpCAM抗体により免疫磁気法で上皮性癌細胞を選択し, サイトケラチン抗体とDAPIで確実に癌細胞を同定し, CD45抗体で白血球を除外するものである. 臨床検体ではCell Track Prepシステムとreal-time RT-PCR法で検討した. Real-tim...

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Published inJOURNAL OF THE KYORIN MEDICAL SOCIETY Vol. 37; no. 3; p. 79
Main Authors 宍戸, 俊英, 東原, 英二, 桶川, 隆嗣, 奴田原, 紀久雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 杏林医学会 2006
The Kyorin Medical Society
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ISSN0368-5829
1349-886X
DOI10.11434/kyorinmed.37.79_2

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Summary:【目的】Cell Track Prepシステム(Veridex社)を用いて前立腺癌患者の末梢血循環癌細胞の検出を行い, 臨床経過を検討した. 【対象と方法】健常ボランティアの末梢血に前立腺癌細胞株(PC3-DU145, LNCaP)混和し, Cell Track Prepシステムで同定および感度を検討した. このシステムの原理はEpCAM抗体により免疫磁気法で上皮性癌細胞を選択し, サイトケラチン抗体とDAPIで確実に癌細胞を同定し, CD45抗体で白血球を除外するものである. 臨床検体ではCell Track Prepシステムとreal-time RT-PCR法で検討した. Real-time RT-PCR法は前立腺特異抗原(prostate specific antigen, PSA)を標的にし, GAPDHの発現量で補正した. 転移性前立腺癌40症例を対象とした. 治療は全例MAB(maximum androgen blockade)療法を行っていた. 【結果】1. 健常ボランティアの末梢血では検出できないことを確認した. 3種類の前立腺癌細胞を各々健常ボランティア末梢血75mlに5, 10, 100, 1000, 10000個を添加したところ, 3種類の癌細胞とも直線性が得られ検出できた. 2. 転移性前立腺癌40症例中治療前で27例(68%)が1個以上/7.5ml検出され, 21例(53%)が5個以上/7.5ml検出された. PSAmRNA発現は30例(75%)で検出された. 治療経過観察期間3-12ヶ月(中央値5ヶ月)で, 8例が再燃前立腺癌となった. MAB療法前に5個以上/7.5ml検出された21例中8例(38%)で治療後も5個以上検出され, 再燃前立腺癌となった. 治療前で検出されなかった13例中全例, 再燃していない. MAB療法前にPSAmRNA発現していた30例中11例(37%)は治療後も発現しており, 6例が再燃前立腺癌となった. 転移性前立腺癌の治療後9ヶ月目で血清PSA0.3ng/ml, PSAmRNAの発現をしていなかった1例において多発性肝転移を認めた. この症例では治療後7ヶ月目で98個/7.5mlの癌細胞を検出していた. 【結論】進行性前立腺癌患者の予後予測因子, また治療効果判定の一助になると考えられる. さらに, 前立腺癌症例を追加し, 予後や治療効果との関係を検討する.
ISSN:0368-5829
1349-886X
DOI:10.11434/kyorinmed.37.79_2