新規ヒト2型糖尿病モデル動物(Sendaiラット)を用いた糖尿病発症の解明(平成18年度杏林大学医学部共同研究プロジェクト中間発表,第35回杏林医学会総会)

日本人2型糖尿病患者は, ブドウ糖刺激インスリン分泌の第一相が低下し, その結果, 食後血糖が高くなることが特徴である. 従って, 糖尿病の予防, 効率的な治療のためにはインスリン分泌第一相が低下する原因を解明することが必須である. しかしながら, その様な研究を遂行するための糖尿病モデル動物は未だ数少ない. Goto-Kakizaki, 通称GKラットは, その中でも優れたヒト2型糖尿病モデル動物である. 私達は, GKラットβ細胞における開口放出関連蛋白質発現の変化, 及びインスリン開口放出の動態解析を詳細に行った. ところがGKラットは, 糖尿病発症時期が非常に早いため, インスリン分泌...

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Published inJOURNAL OF THE KYORIN MEDICAL SOCIETY Vol. 37; no. 3; p. 78
Main Authors 永松, 信哉, 岡村, 匡史, 川上, 速人, 渡邊, 卓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 杏林医学会 2006
The Kyorin Medical Society
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ISSN0368-5829
1349-886X
DOI10.11434/kyorinmed.37.78_1

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Summary:日本人2型糖尿病患者は, ブドウ糖刺激インスリン分泌の第一相が低下し, その結果, 食後血糖が高くなることが特徴である. 従って, 糖尿病の予防, 効率的な治療のためにはインスリン分泌第一相が低下する原因を解明することが必須である. しかしながら, その様な研究を遂行するための糖尿病モデル動物は未だ数少ない. Goto-Kakizaki, 通称GKラットは, その中でも優れたヒト2型糖尿病モデル動物である. 私達は, GKラットβ細胞における開口放出関連蛋白質発現の変化, 及びインスリン開口放出の動態解析を詳細に行った. ところがGKラットは, 糖尿病発症時期が非常に早いため, インスリン分泌低下と, 開口放出関連蛋白質発現変化との因果関係を明らかにするには, 適当なモデル動物ではなかった. 一方, Sendaiラットは, 本プロジェクトの共同研究者である岡村博士(国立国際医療センター)が東北大において新たに開発したゆっくりと糖尿病が発症する2型糖尿病モデルラットである. Sendaiラットは, 耐糖能障害が, 生後8週頃から現れ, ヒト2型糖尿病に非常に類似した特徴を持っていることから, 糖尿病の発症と, β細胞における蛋白質の発現変化, 開口放出変化を時系列を追って詳細に解析できる. 今回の報告会では, GKラット, Sendaiラットを用いた研究経過について紹介する.
ISSN:0368-5829
1349-886X
DOI:10.11434/kyorinmed.37.78_1