血清学的性状による分類が困難であった稀なA亜型の家系
発端者は46歳女性,既往歴,近医で血液型判定不能であったため当院での精査を希望し受診した.家系調査を目的として母親70歳および長男19歳,長女17歳についても血液型検査を行った.発端者の血液型検査はAuto Vueによるカラム凝集法で抗Aの反応が1+と弱く,試験管法にて抗Aは1+,抗Bは陰性,抗A1レクチンは陰性,抗Hレクチンは4+の反応を示した.転移酵素活性測定では血漿中にA転移酵素活性は検出されなかった.フローサイトメトリーによるA抗原の解析では陰性領域にピークを有し,Ax型と類似したヒストグラムであった.ABO遺伝子解析ではexon 6と7における直接シークエンス法にてA307/O01と...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 62; no. 4; pp. 560 - 565 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
2016
日本輸血・細胞治療学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1881-3011 1883-0625 |
DOI | 10.3925/jjtc.62.560 |
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Summary: | 発端者は46歳女性,既往歴,近医で血液型判定不能であったため当院での精査を希望し受診した.家系調査を目的として母親70歳および長男19歳,長女17歳についても血液型検査を行った.発端者の血液型検査はAuto Vueによるカラム凝集法で抗Aの反応が1+と弱く,試験管法にて抗Aは1+,抗Bは陰性,抗A1レクチンは陰性,抗Hレクチンは4+の反応を示した.転移酵素活性測定では血漿中にA転移酵素活性は検出されなかった.フローサイトメトリーによるA抗原の解析では陰性領域にピークを有し,Ax型と類似したヒストグラムであった.ABO遺伝子解析ではexon 6と7における直接シークエンス法にてA307/O01と判定した.子供2名は発端者と同様の結果が得られた.A307は血清学的にA3B型と分類した家系から報告されており,トランスの位置にB101を有していたことからallelic enhancementによりA抗原が増強していたと考えられている.本症例はトランスの位置にO01を有するためA抗原の発現が弱く,血清学的検査において通常検出されるA3型よりも弱い反応を示したと考えられた. |
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ISSN: | 1881-3011 1883-0625 |
DOI: | 10.3925/jjtc.62.560 |