腋窩リンパ節転移で発見され胸筋温存乳房切除術を施行した潜在性乳癌の2例

症例1は72歳女性.右腋窩リンパ節腫脹を主訴に当科受診した.乳癌の腋窩リンパ節転移を疑いマンモグラフィ(MMG),超音波検査(US),CT,MRIで検索を行ったが原発不明であった.腋窩リンパ節生検の結果,浸潤性小葉癌であった.潜在性乳癌の診断で乳房切除,腋窩リンパ節郭清を施行した.症例2は60歳女性.右腋窩リンパ節腫脹を主訴に当科受診した.症例1と同様に各検査で原発不明であった.腋窩リンパ節生検の結果,浸潤性乳管癌であった.潜在性乳癌の診断で乳房切除,腋窩リンパ節郭清を行った.症例1,2ともに術後3年間無再発で経過している.全乳癌における潜在性乳癌の頻度は0.3-1%1,2)と稀であり,各施設...

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Published in山口医学 Vol. 64; no. 2; pp. 153 - 157
Main Authors 金田, 好和, 野島, 真治, 杉山, 望, 深光, 岳, 亀井, 敏昭, 須藤, 隆一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 01.05.2015
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ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.64.153

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Summary:症例1は72歳女性.右腋窩リンパ節腫脹を主訴に当科受診した.乳癌の腋窩リンパ節転移を疑いマンモグラフィ(MMG),超音波検査(US),CT,MRIで検索を行ったが原発不明であった.腋窩リンパ節生検の結果,浸潤性小葉癌であった.潜在性乳癌の診断で乳房切除,腋窩リンパ節郭清を施行した.症例2は60歳女性.右腋窩リンパ節腫脹を主訴に当科受診した.症例1と同様に各検査で原発不明であった.腋窩リンパ節生検の結果,浸潤性乳管癌であった.潜在性乳癌の診断で乳房切除,腋窩リンパ節郭清を行った.症例1,2ともに術後3年間無再発で経過している.全乳癌における潜在性乳癌の頻度は0.3-1%1,2)と稀であり,各施設が個別に治療方針を決定している.不十分な治療は再発転移の可能性を高めるが,過剰な治療も控えるべきであるため治療方針の決定には苦慮する.体系化された治療指針を作成するためには症例の蓄積が必要と考える.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.64.153