キョウチクトウ大量摂取の1例

症例は30歳代,女性.自傷目的にキョウチクトウの葉12枚を摂取し,増悪する嘔気のため摂取19時間後に当院へ救急搬送された.来院時,傾眠,四肢脱力および振戦がみられ,心拍数50/分の洞性徐脈だったが,それ以外は安定しており,血清カリウム値も4.1 mEq/lと正常範囲だった.救急外来で活性炭と緩下剤を投与し,経過観察目的に同日集中治療室(ICU)入院とした.ICU入室後の全身状態は安定しており,第2病日に一般病棟へ退室した.その後の経過も良好で第5病日に退院した. キョウチクトウは公園や街路樹などに広く利用されているが,全木にオレアンドリン等の強心配糖体を含むため有毒である.国内でのキョウチクト...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 70; no. 4; pp. 359 - 362
Main Authors 沼崎, あゆみ, 中島, 潤, 福島, 一憲, 大嶋, 清宏, 一色, 雄太, 森, 瑞樹, 河野, 慧, 市川, 優美, 神戸, 将彦, 村田, 将人, 澤田, 悠輔, 矢嶋, 尚生, 荒巻, 裕斗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.11.2020
Subjects
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ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.70.359

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Summary:症例は30歳代,女性.自傷目的にキョウチクトウの葉12枚を摂取し,増悪する嘔気のため摂取19時間後に当院へ救急搬送された.来院時,傾眠,四肢脱力および振戦がみられ,心拍数50/分の洞性徐脈だったが,それ以外は安定しており,血清カリウム値も4.1 mEq/lと正常範囲だった.救急外来で活性炭と緩下剤を投与し,経過観察目的に同日集中治療室(ICU)入院とした.ICU入室後の全身状態は安定しており,第2病日に一般病棟へ退室した.その後の経過も良好で第5病日に退院した. キョウチクトウは公園や街路樹などに広く利用されているが,全木にオレアンドリン等の強心配糖体を含むため有毒である.国内でのキョウチクトウ中毒の報告は極めて稀だが,重症化し死亡に至る場合もあるので,早期からの中毒物質同定および積極的な治療介入が重要である.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.70.359