腹壁の皮下に発生したatypical lipomatous tumorの1例

症例は47歳, 男性. 人間ドッグで左下腹部に手拳大の皮下腫瘤を指摘され, その後増大傾向になり来院. 初診時約8 cm大の弾性軟の腫瘤を認めた. MRI T1, T2強調画像にて内部不均一な高信号を呈する腫瘤を認めた. 画像所見より悪性腫瘤の可能性を考え充分に剥離marginをとり完全切除した. 腫瘤は肉眼的には脂肪組織に被包された境界明瞭で淡い黄色を呈していた. 組織学的には脂肪細胞にわずかに核腫大が見られた. 核には若干の異型があるが全体像では核分裂像はほとんど見られずatypical lipomatous tumor (ALT) と診断した. ALTは臨床的に良性脂肪性腫瘍との鑑別が難...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 67; no. 2; pp. 163 - 167
Main Authors 室谷, 研, 堤, 裕史, 星野, 弘毅, 橋本, 直樹, 岩﨑, 茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.05.2017
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Summary:症例は47歳, 男性. 人間ドッグで左下腹部に手拳大の皮下腫瘤を指摘され, その後増大傾向になり来院. 初診時約8 cm大の弾性軟の腫瘤を認めた. MRI T1, T2強調画像にて内部不均一な高信号を呈する腫瘤を認めた. 画像所見より悪性腫瘤の可能性を考え充分に剥離marginをとり完全切除した. 腫瘤は肉眼的には脂肪組織に被包された境界明瞭で淡い黄色を呈していた. 組織学的には脂肪細胞にわずかに核腫大が見られた. 核には若干の異型があるが全体像では核分裂像はほとんど見られずatypical lipomatous tumor (ALT) と診断した. ALTは臨床的に良性脂肪性腫瘍との鑑別が難しく, 四肢や後腹膜に好発する腫瘍であるが, 腹部の皮下に発生することは稀である. 不完全切除の場合局所再発する可能があるため, 比較的大型な皮下腫瘤ではALTの可能性も考え完全切除をする必要があると思われる.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.67.163