小腸軸捻転で発症した嚢胞状形態を呈する小腸GISTの1例

症例は50歳男性.突然の強い下腹部痛と嘔吐症状により当院に救急搬送された.腹部CT所見で左側腹部に8cm大の嚢胞性腫瘍を認め,この病変と連続する腸間膜の捻転を示唆するwhirl signを認めた.腹水貯留もあり,腹部所見で筋性防御も認めたため,小腸または腸間膜の嚢胞性病変による小腸軸捻転の診断で同日緊急手術を施行した.手術所見は上腸間膜動脈を中心として小腸が時計回りに360度捻転していた.絞扼を解除したところ,腸管の血流障害はなかった.Treitz靭帯より約140cmの空腸に8cm大の壁外性の嚢胞性腫瘍を認め,これを含めた小腸部分切除を施行した.嚢胞内部に充実性腫瘍を認め,病理組織学的には小腸...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 68; no. 2; pp. 117 - 122
Main Authors 佐藤, 泰輔, 岩波, 弘太郎, 小林, 克巳, 前村, 道生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.05.2018
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は50歳男性.突然の強い下腹部痛と嘔吐症状により当院に救急搬送された.腹部CT所見で左側腹部に8cm大の嚢胞性腫瘍を認め,この病変と連続する腸間膜の捻転を示唆するwhirl signを認めた.腹水貯留もあり,腹部所見で筋性防御も認めたため,小腸または腸間膜の嚢胞性病変による小腸軸捻転の診断で同日緊急手術を施行した.手術所見は上腸間膜動脈を中心として小腸が時計回りに360度捻転していた.絞扼を解除したところ,腸管の血流障害はなかった.Treitz靭帯より約140cmの空腸に8cm大の壁外性の嚢胞性腫瘍を認め,これを含めた小腸部分切除を施行した.嚢胞内部に充実性腫瘍を認め,病理組織学的には小腸GISTの診断で,免疫染色ではc-kit(+),CD34(+),low grade malignancyであった.嚢胞を形成する小腸GISTは比較的まれであり,さらに腸軸捻転で発症し緊急手術が必要となった症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.68.117