亜鉛代謝の必須分子として機能する亜鉛トランスポーター
「はじめに」 少し前の栄養学の本を読むと, 亜鉛代謝ではメタロチオネインが中心的役割を果たすと解説されている. メタロチオネインは, 確かに亜鉛代謝における重要分子の一つではあるが, 近年の研究から, 亜鉛トランスポーターの重要性がクローズアップされてきており, その多様な機能によって亜鉛の多彩な生理作用が説明できるため大きな注目を集めている. 動物細胞において初めて亜鉛トランスポーターが発見されたのは90年代後半である(1). 従って, 亜鉛トランスポーター研究は比較的新しい研究分野であるが, その後の進展は目覚ましく, 現在も新たな知見が相次いで報告されている. 亜鉛代謝に不可欠な役割を担...
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Published in | 日本衛生学雑誌 Vol. 68; no. 2; pp. 92 - 102 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本衛生学会
2013
日本衛生学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0021-5082 1882-6482 |
DOI | 10.1265/jjh.68.92 |
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Summary: | 「はじめに」 少し前の栄養学の本を読むと, 亜鉛代謝ではメタロチオネインが中心的役割を果たすと解説されている. メタロチオネインは, 確かに亜鉛代謝における重要分子の一つではあるが, 近年の研究から, 亜鉛トランスポーターの重要性がクローズアップされてきており, その多様な機能によって亜鉛の多彩な生理作用が説明できるため大きな注目を集めている. 動物細胞において初めて亜鉛トランスポーターが発見されたのは90年代後半である(1). 従って, 亜鉛トランスポーター研究は比較的新しい研究分野であるが, その後の進展は目覚ましく, 現在も新たな知見が相次いで報告されている. 亜鉛代謝に不可欠な役割を担う亜鉛トランスポーターの機能喪失は, 先天性疾患の発症に結びつき, さらに, 亜鉛トランスポーターが, アルツハイマー病や糖尿病, がんといった現代社会が克服すべき疾患と密接に関連することも判明してきた(2). 本稿では, 生体内に20種類以上発現する亜鉛トランスポーターを生理機能の面から概観し, その重要性について解説したい. |
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ISSN: | 0021-5082 1882-6482 |
DOI: | 10.1265/jjh.68.92 |