腹腔鏡補助下に切除した無症候性結腸静脈型血管腫の1例

症例は50歳の男性で,左側腹部痛を主訴に当院を受診した.腹部CTで左尿管結石と共に偶発的に横行結腸の腫瘤性病変を指摘された.結石の排石により側腹部痛は改善したものの,下部消化管内視鏡検査では横行結腸に暗赤色調の粘膜下腫瘤様の隆起性病変が認められ血管腫が疑われたため,消化管出血や通過障害の出現を考慮し待機的に手術が施行された.腹腔内を観察すると,肝彎曲部付近の横行結腸に壁外から近傍の大網内まで進展する血管腫が認められたため,腹腔鏡補助下で病変部位を含めた横行結腸切除術が施行された.病理組織学的には,増生した弾性線維を伴う静脈の増殖が認められ,静脈型血管腫と診断された.大腸血管腫の切除例は,組織学...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 69; no. 1; pp. 31 - 36
Main Authors 木村, 聡大, 只野, 惣介, 物井, 久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.02.2019
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Summary:症例は50歳の男性で,左側腹部痛を主訴に当院を受診した.腹部CTで左尿管結石と共に偶発的に横行結腸の腫瘤性病変を指摘された.結石の排石により側腹部痛は改善したものの,下部消化管内視鏡検査では横行結腸に暗赤色調の粘膜下腫瘤様の隆起性病変が認められ血管腫が疑われたため,消化管出血や通過障害の出現を考慮し待機的に手術が施行された.腹腔内を観察すると,肝彎曲部付近の横行結腸に壁外から近傍の大網内まで進展する血管腫が認められたため,腹腔鏡補助下で病変部位を含めた横行結腸切除術が施行された.病理組織学的には,増生した弾性線維を伴う静脈の増殖が認められ,静脈型血管腫と診断された.大腸血管腫の切除例は,組織学的にはその大部分が海綿状血管腫であり,多くが出血症状を主とした症候性に診断される.本症例のような静脈型血管腫は非常に稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.69.31