偶発的に発見されたS状結腸憩室穿通による右付属器膿瘍に対して外科的加療を施行した1例

症例は52歳女性で,臍ヘルニアの手術目的に当科紹介となった.当科初診時には腹部の自発痛は認めなかったが,腹部CTで腹腔内遊離ガスおよび膿瘍を認めたため,消化管穿孔を疑い入院加療となった.下腹部に軽度の圧痛を認めるのみで,炎症所見も軽微であったことより,保存的加療を行った.退院後も無症状で経過したが,約4か月後に施行した腹部CTで右下腹部に著明なガス貯留を伴う膿瘍腔の残存を認め,S状結腸憩室穿通による腹腔内膿瘍の診断で手術の方針となった.術中所見では,右卵巣および卵管采に手拳大の厚い壁を持つ膿瘍が強固に癒着していたため,右付属器膿瘍と判断した.憩室と膿瘍を伴う卵管との連続が確認でき,右付属器およ...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 68; no. 4; pp. 277 - 282
Main Authors 竹内, 瑞葵, 中川, 真理, 野田, 大地, 江原, 玄, 大谷, 泰介, 竹内, 悠二, 嶋口, 万友, 松尾, 亮太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.11.2018
Subjects
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ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.68.277

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Summary:症例は52歳女性で,臍ヘルニアの手術目的に当科紹介となった.当科初診時には腹部の自発痛は認めなかったが,腹部CTで腹腔内遊離ガスおよび膿瘍を認めたため,消化管穿孔を疑い入院加療となった.下腹部に軽度の圧痛を認めるのみで,炎症所見も軽微であったことより,保存的加療を行った.退院後も無症状で経過したが,約4か月後に施行した腹部CTで右下腹部に著明なガス貯留を伴う膿瘍腔の残存を認め,S状結腸憩室穿通による腹腔内膿瘍の診断で手術の方針となった.術中所見では,右卵巣および卵管采に手拳大の厚い壁を持つ膿瘍が強固に癒着していたため,右付属器膿瘍と判断した.憩室と膿瘍を伴う卵管との連続が確認でき,右付属器および膿瘍切除,S状結腸部分切除術を施行した.骨盤内膿瘍を伴う結腸憩室症では,付属器への瘻孔形成の可能性も念頭に精査を行い,治療方針を決定することが重要であると考える.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.68.277