Plastic bronchitisを合併した小児インフルエンザ(H1N1)2009重症呼吸不全症例5例の検討
背景.2009年にインフルエンザ(H1N1)2009感染症が世界的大流行をみせ,本邦でも多数の感染者を認めた.翌2010年も多くのインフルエンザ(H1N1)2009の感染が確認された.小児の感染が多く,当院でも小児の入院が相次ぎ,呼吸不全により人工呼吸管理を要する症例を複数例認めた.目的.インフルエンザ(H1N1)2009感染症に合併した重症呼吸不全の特徴を明らかにする.対象・方法.当院で2009年9月から2010年3月の間に,インフルエンザ感染症により入院治療を要した116例中,インフルエンザ関連肺炎,気管支炎の診断による入院は71例(男児52例,女児19例)であった.呼吸不全により気管内挿...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 37; no. 3; pp. 261 - 266 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2015
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.37.3_261 |
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Summary: | 背景.2009年にインフルエンザ(H1N1)2009感染症が世界的大流行をみせ,本邦でも多数の感染者を認めた.翌2010年も多くのインフルエンザ(H1N1)2009の感染が確認された.小児の感染が多く,当院でも小児の入院が相次ぎ,呼吸不全により人工呼吸管理を要する症例を複数例認めた.目的.インフルエンザ(H1N1)2009感染症に合併した重症呼吸不全の特徴を明らかにする.対象・方法.当院で2009年9月から2010年3月の間に,インフルエンザ感染症により入院治療を要した116例中,インフルエンザ関連肺炎,気管支炎の診断による入院は71例(男児52例,女児19例)であった.呼吸不全により気管内挿管,人工呼吸管理となった症例は5例で,その全症例に対し気管支鏡検査を施行し,患者背景,気管支鏡所見に関して検討を行った.結果.気管内挿管,人工呼吸管理となった5例の内訳は,男児4例,女児1例であった.基礎疾患に喘息を有する症例は2例,混合感染が証明された症例は3例であった.気管支鏡所見では,全症例に葉気管支から区域支を鋳型様に閉塞する粘液栓を認め,吸引除去により呼吸状態の改善が得られた.粘液栓の病理組織像は,好酸球を主とする炎症細胞とフィブリンにより形成されており,plastic bronchitis Type Iと診断された.4例は軽快退院となったが,1例は心筋炎を合併し,死亡した.考察.小児のインフルエンザ(H1N1)2009感染にplastic bronchitisの合併が多いことが示唆された.急速に呼吸状態の悪化を来す症例に関しては,気管支鏡による粘液栓の除去も念頭に入れた治療が必要と考えられた. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.37.3_261 |