成人期に発見された先天性食道気管支瘻の1手術例

背景.先天性食道気管支瘻は成人期に発見されることがある比較的稀な疾患である.今回われわれは60歳代で発見,診断された先天性食道気管支瘻を経験したので報告する.症例.66歳女性.主訴:咳嗽および血痰.小児期より気管支喘息,肺炎による複数回の入院歴があった.血痰を主訴に近医より当院へ紹介となった.入院中の上部消化管内視鏡検査において偶然食道憩室が発見され,当科において精査を行った.胸部CTおよび造影検査の結果,瘻孔は下部食道右側の食道憩室より右肺S^6内部の嚢胞を介してB^6気管支に連続しており,Braimbridge分類のI+III型に相当すると考えられた.手術は食道気管支瘻離断+右肺下葉切除を...

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Published in気管支学 Vol. 34; no. 2; pp. 127 - 132
Main Authors 宮津, 克幸, 小林, 孝一郎, 岩佐, 桂一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2012
日本呼吸器内視鏡学会
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Summary:背景.先天性食道気管支瘻は成人期に発見されることがある比較的稀な疾患である.今回われわれは60歳代で発見,診断された先天性食道気管支瘻を経験したので報告する.症例.66歳女性.主訴:咳嗽および血痰.小児期より気管支喘息,肺炎による複数回の入院歴があった.血痰を主訴に近医より当院へ紹介となった.入院中の上部消化管内視鏡検査において偶然食道憩室が発見され,当科において精査を行った.胸部CTおよび造影検査の結果,瘻孔は下部食道右側の食道憩室より右肺S^6内部の嚢胞を介してB^6気管支に連続しており,Braimbridge分類のI+III型に相当すると考えられた.手術は食道気管支瘻離断+右肺下葉切除を施行,瘻孔離断時には術中食道内視鏡を併用した.食道憩室断端と気管支断端はそれぞれ大網で被覆した.患者は術後1年6カ月を経過した現在も症状は消失したままであり,良好な結果を得ている.結果.病理組織所見では瘻管内の上皮において食道組織は扁平上皮で内張りされており,瘻管部分において壁内に固有筋層を認め,成人発見の食道気管支瘻における先天性起源を判定するBrunnerの基準を満たしており先天性であると断定した.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.34.2_127