気管支喘息発作治療中に広範な縦隔気腫とともに気管粘膜下気腫を合併した1症例

背景.気管支喘息発作における合併症の一つとして縦隔気腫が知られている.一方で気管粘膜下気腫の合併が確認される症例は極めて稀であり,また縦隔気腫との関連性も不明である.症例.16歳女性.気管支喘息のため近医にて吸入ステロイドを含む治療中であったが,気管支喘息増悪に加えて広範な縦隔気腫・皮下気腫を合併したため当科紹介となった.入院時胸部CTでは気管内全周性に粘膜剥離像として矛盾しない薄壁の軟組織陰影を認めた.我々は気管粘膜下気腫の合併と判断し慎重に経過をみていたが,患者自身での粘稠痰の喀出が困難であり縦隔および皮下気腫とともに呼吸困難も遷延した.このため気管支鏡検査を施行した.気管内に粘膜下気腫を...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 34; no. 2; pp. 184 - 188
Main Authors 阿部, 恭子, 久田, 修, 玉田, 勉, 鳴海, 創大, 海老名, 雅仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2012
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.34.2_184

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Summary:背景.気管支喘息発作における合併症の一つとして縦隔気腫が知られている.一方で気管粘膜下気腫の合併が確認される症例は極めて稀であり,また縦隔気腫との関連性も不明である.症例.16歳女性.気管支喘息のため近医にて吸入ステロイドを含む治療中であったが,気管支喘息増悪に加えて広範な縦隔気腫・皮下気腫を合併したため当科紹介となった.入院時胸部CTでは気管内全周性に粘膜剥離像として矛盾しない薄壁の軟組織陰影を認めた.我々は気管粘膜下気腫の合併と判断し慎重に経過をみていたが,患者自身での粘稠痰の喀出が困難であり縦隔および皮下気腫とともに呼吸困難も遷延した.このため気管支鏡検査を施行した.気管内に粘膜下気腫を示唆する明らかな病変は認められず,慎重に喀痰を除去したところ,検査終了後速やかに呼吸困難および縦隔気腫が改善した.結論.気管支喘息発作に広範な縦隔気腫のほか,気管粘膜下気腫を合併した症例を初めて報告した.近年の高分解能CT撮影の進歩によって同様の所見が検出される可能性があり,今後の集積・検討によっては喘息に伴う縦隔気腫の発生機序の解明にも役立つかもしれず,示唆に富む貴重な症例であると考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.34.2_184