局所麻酔下胸腔鏡検査後に対側に発症した再膨張性肺水腫の1例

背景.再膨張性肺水腫は気胸や胸水貯留における胸腔ドレナージの合併症として知られているが,対側に発症したという報告は数少ない.症例. 62歳女性.呼吸困難を主訴に来院,胸部X線にて大量の左胸水貯留を認め縦隔偏位を来していた.既往に乳癌があり,癌性胸膜炎を疑い組織診断目的に局所麻酔下胸腔鏡にて壁側胸膜の生検と胸水の排液を行い,胸腔ドレンを留置して終了した.病室へ帰室後から呼吸困難を訴え,検査後の胸部X線にて対側の右下肺野にスリガラス影を認めた.経過から再膨張性肺水腫と考え,ステロイド点滴と非侵襲的陽圧換気による呼吸管理を行った.翌日には症状, X線写真上の肺水腫は軽快した.左胸水が減少したことで,...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 37; no. 2; pp. 178 - 182
Main Authors 馬嶋, 俊, 武田, 直也, 岩田, 勝, 鈴木, 嘉洋, 北川, 弘祥, 宮沢, 亜矢子, 岡, 圭輔, 吉田, 憲生, 柴田, 寛史, 松井, 彰, 加藤, 聡之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2015
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.37.2_178

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Summary:背景.再膨張性肺水腫は気胸や胸水貯留における胸腔ドレナージの合併症として知られているが,対側に発症したという報告は数少ない.症例. 62歳女性.呼吸困難を主訴に来院,胸部X線にて大量の左胸水貯留を認め縦隔偏位を来していた.既往に乳癌があり,癌性胸膜炎を疑い組織診断目的に局所麻酔下胸腔鏡にて壁側胸膜の生検と胸水の排液を行い,胸腔ドレンを留置して終了した.病室へ帰室後から呼吸困難を訴え,検査後の胸部X線にて対側の右下肺野にスリガラス影を認めた.経過から再膨張性肺水腫と考え,ステロイド点滴と非侵襲的陽圧換気による呼吸管理を行った.翌日には症状, X線写真上の肺水腫は軽快した.左胸水が減少したことで,右方へ偏位していた心臓に圧迫されていた右中葉が急激に拡張して再膨張性肺水腫を来したと考えられた.結論.完全無気肺となっていても縦隔偏位を来している症例では対側に再膨張性肺水腫を来す可能性があり,事前の胸水排液などの対応が必要である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.37.2_178