肺野多発陰影,縦隔リンパ節腫大および左気管支内腔に腫瘤性病変を認めたIgG4関連肺疾患の1例

背景.IgG4関連肺疾患は近年提唱された新しい疾患でその概念は未だ確立していない.症例.65歳,男性.胸部異常影にて受診.肺門縦隔リンパ節腫大と左上大区気管支内腔の腫瘤を認めたが,精査を希望されず経過観察していた.病変は緩徐に増大し,末梢血好酸球増多,両側肺野多発浸潤影とすりガラス影の出現を認め精査を施行.気管支肺胞洗浄液にて好酸球分画の軽度上昇,経気管支肺生検で細気管支周囲を主体に好酸球,リンパ球の浸潤を認めた.肺野陰影は自然消退したが,気管支内腔ポリープは残存したため気管支鏡下腫瘍切除術を施行.増生した線維組織とリンパ形質細胞と好酸球の浸潤を認めた.免疫染色にてIgG4陽性形質細胞を多数認...

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Published in気管支学 Vol. 32; no. 6; pp. 498 - 503
Main Authors 中曽根, 悦子, 藤澤, 朋幸, 間藤, 尚子, 中屋, 孝清, 山沢, 英明, 坂東, 政司, 山本, 真一, 遠藤, 俊輔, 杉山, 幸比古
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
日本呼吸器内視鏡学会
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Summary:背景.IgG4関連肺疾患は近年提唱された新しい疾患でその概念は未だ確立していない.症例.65歳,男性.胸部異常影にて受診.肺門縦隔リンパ節腫大と左上大区気管支内腔の腫瘤を認めたが,精査を希望されず経過観察していた.病変は緩徐に増大し,末梢血好酸球増多,両側肺野多発浸潤影とすりガラス影の出現を認め精査を施行.気管支肺胞洗浄液にて好酸球分画の軽度上昇,経気管支肺生検で細気管支周囲を主体に好酸球,リンパ球の浸潤を認めた.肺野陰影は自然消退したが,気管支内腔ポリープは残存したため気管支鏡下腫瘍切除術を施行.増生した線維組織とリンパ形質細胞と好酸球の浸潤を認めた.免疫染色にてIgG4陽性形質細胞を多数認め,血清IgG4高値とあわせてIgG4関連肺疾患と診断した.結語.多彩な気管支肺病変と好酸球増多を示したIgG4関連肺疾患は稀であり文献的考察を加え報告した.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.6_498