側視型拡大気管支ビデオスコープの臨床応用(<ミニ特集>気管支鏡的画像診断の最前線)

気管・気管支上皮下層に樹枝状に分布する血管綱は,気管支粘膜を病変の場とする疾患で様々な変化を生じる.我々は側視型拡大気管支ビデオスコープ(XBF240HM5,オリンパスメディカルシステムズ)を用いて疾患に伴う血管綱の変化を観察してきた.正常粘膜では血管は軟骨輪間溝部に多く分布しており,軟骨輪部では乏しかった.また,膜様部では細い血管と縦走襞が観察された.血管の走行は概ね軟骨輪に並行するやや太い血管と交差する細い血管が観察された.気管支喘息とサルコイドーシスでは上皮下層の血管は増加しており,通常は血管の少ない軟骨輪部にも血管増生を認めた.慢性気管支炎では血管は比較的少なく血管像も不明瞭であった....

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 28; no. 7; pp. 494 - 502
Main Authors 高橋, 弘毅, 山田, 玄, 北田, 順也, 田中, 裕士, 白鳥, 正典, 大塚, 満雄, 藤井, 偉, 高橋, 守
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2006
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.28.7_494

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Summary:気管・気管支上皮下層に樹枝状に分布する血管綱は,気管支粘膜を病変の場とする疾患で様々な変化を生じる.我々は側視型拡大気管支ビデオスコープ(XBF240HM5,オリンパスメディカルシステムズ)を用いて疾患に伴う血管綱の変化を観察してきた.正常粘膜では血管は軟骨輪間溝部に多く分布しており,軟骨輪部では乏しかった.また,膜様部では細い血管と縦走襞が観察された.血管の走行は概ね軟骨輪に並行するやや太い血管と交差する細い血管が観察された.気管支喘息とサルコイドーシスでは上皮下層の血管は増加しており,通常は血管の少ない軟骨輪部にも血管増生を認めた.慢性気管支炎では血管は比較的少なく血管像も不明瞭であった.腫瘍性病変では腫瘍または腫瘍近傍に血管が増生する場合や粘膜が肥厚する場合などが観察された.腫瘍周囲に観察される血管増生は不規則な拡張と蛇行が特徴と思われた.最近はNarrow band imaging (NBI)システムを用いて拡大観察を行っている.NBIは光の組織深達度の波長依存性とヘモグロビン吸収特性を利用した新しい内視鏡システムである.拡大気管支鏡とNBIの組み合わせにより血管の視認性が向上し通常光では描出されにくい上皮下層の微細な血管を観察することができた.NBIと側視型拡大気管支ビデオスコープの組み合わせは上皮下層の血管網の変化と気道病変の関連を検討する上で有用である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.28.7_494