特発性間質性肺炎における BAL の臨床的有用性について
未治療の特発性間質性肺炎(IIP)29例(中央値60歳, 男女比20/9), 並びに疾患対照として慢性関節リウマチ肺(RA+IP)19例と非喫煙健常人対照29例, 喫煙健常人対照29例に気管支肺胞洗浄(BAL)を施行し, IIPにおける病勢, 治療反応性や予後との関連について検討した。IIP全症例の生存期間中央値は7.1年, 5年生存率は63.0%であり, 24例が経過観察中に死亡した。IIP, RA+IPともに健常人対照に比べBAL液中好中球, 好酸球比率の有意な増加がみられ, また活動期群では非活動期群に比べ好中球, 好酸球比率の有意な増加がみられた。IIPとRA+IPのBAL所見の比較で...
Saved in:
Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 20; no. 1; pp. 21 - 27 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
1998
日本気管支学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.20.1_21 |
Cover
Summary: | 未治療の特発性間質性肺炎(IIP)29例(中央値60歳, 男女比20/9), 並びに疾患対照として慢性関節リウマチ肺(RA+IP)19例と非喫煙健常人対照29例, 喫煙健常人対照29例に気管支肺胞洗浄(BAL)を施行し, IIPにおける病勢, 治療反応性や予後との関連について検討した。IIP全症例の生存期間中央値は7.1年, 5年生存率は63.0%であり, 24例が経過観察中に死亡した。IIP, RA+IPともに健常人対照に比べBAL液中好中球, 好酸球比率の有意な増加がみられ, また活動期群では非活動期群に比べ好中球, 好酸球比率の有意な増加がみられた。IIPとRA+IPのBAL所見の比較では差を認めなかった。喫煙の影響についての検討では健常人対照, IIPともに喫煙群に総細胞密度, 好中球, 好酸球比率が増加する傾向にあった。BAL液中好中球増加IIP症例は有意に予後不良であった。IIP活動期群16例におけるステロイド治療1ヵ月後の有効群と無効群の予後に有意差はなく, 各群の治療前の各種検査成績から治療効果を予測することは困難であった。 |
---|---|
ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.20.1_21 |