肺血栓塞栓症における肺換気・血流シンチグラフィ : 日本核医学会・呼吸器核医学WGによるアンケート調査より(<ミニ特集>核医学による最新呼吸器診断学)
「背景」肺血栓塞栓症は, 様々な原因で形成された静脈内血栓が遊離し, 肺動脈内に塞栓を生じて重篤な呼吸器循環器障害をきたす疾患であり, 欧米においては古くから積極的に研究されてきた. 日本においても決して少なくはない疾患であり, 近年では手術後の突然死やエコノミークラス症候群などの話題とも相まって, 社会的な関心も高まっている. 肺血栓塞栓症患者の多くは呼吸困難, 胸痛, 頻呼吸などを呈するが, いずれも非特異的である. 初期の検査としては心電図, 胸部単純X線写真, 動脈血ガス分析, 心臓超音波検査などが施行されることが多く, これらの諸検査で典型的な所見が得られれば診断は容易である. 近年...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 29; no. 3; pp. 139 - 143 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2007
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.29.3_139 |
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Summary: | 「背景」肺血栓塞栓症は, 様々な原因で形成された静脈内血栓が遊離し, 肺動脈内に塞栓を生じて重篤な呼吸器循環器障害をきたす疾患であり, 欧米においては古くから積極的に研究されてきた. 日本においても決して少なくはない疾患であり, 近年では手術後の突然死やエコノミークラス症候群などの話題とも相まって, 社会的な関心も高まっている. 肺血栓塞栓症患者の多くは呼吸困難, 胸痛, 頻呼吸などを呈するが, いずれも非特異的である. 初期の検査としては心電図, 胸部単純X線写真, 動脈血ガス分析, 心臓超音波検査などが施行されることが多く, これらの諸検査で典型的な所見が得られれば診断は容易である. 近年ではD-ダイマーが有用とされており, 感度は高く, 特異性は低いが, 陰性反応的中度が高い. さて, 肺血栓塞栓症の確定診断のための画像検査としては, 従来は核医学検査(肺換気・血流シンチグラフィ)と肺動脈造影検査が中心であった. 特に肺動脈造影は肺血栓塞栓症のgold standardとされてきた歴史がある. しかし, 画像解像度の向上や撮影時間の短縮などCT技術の進歩は著しく, 現在では造影CTが第一選択になりつつある. このような状況下で, 肺血栓塞栓症における肺換気・血流シンチグラフィの果たす役割を再評価すべく, 平成13年に日本核医学会・呼吸器核医学ワーキンググループ(WG)によるアンケート調査(代表:楢林勇)が行われた1. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.29.3_139 |