硬性気管支鏡下に摘出した長期介在気道異物の1例

背景.長期介在気道異物は肉芽形成のため摘出が困難となる.約1年間介在した気道異物を硬性気管支鏡下に安全に摘出できた症例を報告する.症例.68歳,男性.約1年前に歯科治療中に歯冠を喪失.一時的に咳嗽を認めたが軽快したため放置していた.約1カ月前より乾性咳嗽が出現して持続していた.胸部X線,胸部CTで右中間気管支幹内の歯冠と右下葉末梢に無気肺を認めた.軟性気管支鏡下に歯冠の除去を試みたが,肉芽により歯冠は強固に固定されており摘出することはできなかった.そこで,全身麻酔下に硬性気管支鏡を用いて異物除去を施行した.歯冠を鰐口鉗子で把持し硬性気管支鏡ごと回転・牽引することで安全に摘出することができた.翌...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 36; no. 6; pp. 605 - 610
Main Authors 高濱, 誠, 山本, 良二, 丁, 奎光, 多田, 弘人, 月岡, 卓馬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2014
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.36.6_605

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Summary:背景.長期介在気道異物は肉芽形成のため摘出が困難となる.約1年間介在した気道異物を硬性気管支鏡下に安全に摘出できた症例を報告する.症例.68歳,男性.約1年前に歯科治療中に歯冠を喪失.一時的に咳嗽を認めたが軽快したため放置していた.約1カ月前より乾性咳嗽が出現して持続していた.胸部X線,胸部CTで右中間気管支幹内の歯冠と右下葉末梢に無気肺を認めた.軟性気管支鏡下に歯冠の除去を試みたが,肉芽により歯冠は強固に固定されており摘出することはできなかった.そこで,全身麻酔下に硬性気管支鏡を用いて異物除去を施行した.歯冠を鰐口鉗子で把持し硬性気管支鏡ごと回転・牽引することで安全に摘出することができた.翌日には軽快退院し,異物除去4週間後には著明な肉芽組織の減少を認めた.結語.肉芽内に嵌頓するような気道異物を摘出する際には,異物に回転力を伝える必要がある.硬性気管支鏡下異物除去は摘出困難な気道異物に対して有効な手段である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.36.6_605