右横隔膜下膿瘍と肺膿瘍に続発した右下横隔膜動脈と肺血管の吻合による喀血の1例

背景.喀血の原因が下横隔膜動脈と肺血管との吻合であるという報告は少ない.症例.66歳女性.主訴は喀血.1993年に右横隔膜下膿瘍,1998年に右肺下葉に腫瘤状陰影を指摘されていた.2002年6月26日,喀血にて入院した.気管支鏡検査にて右下幹からの出血を認めた.気管支動脈造影では責任血管は同定されず,右下横隔膜動脈造影にて肺血管との吻合を認めた.右下横隔膜動脈塞栓術を行い一旦止血に成功したが,2002年12月25日に再度喀血し,右下葉切除を行った.右肺下葉の腫瘤状病変は肺膿瘍であり,右下横隔膜動脈と肺血管との吻合に一致した部位に存在した.結論.横隔膜下膿瘍に伴い炎症が経横隔膜的に下肺に波及し,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 25; no. 5; pp. 358 - 362
Main Authors 野畑, 浩一, 藤村, 政樹, 笠原, 寿郎, 渡辺, 俊雄, 辻, 博, 安井, 正英, 石浦, 嘉久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2003
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.25.5_358

Cover

More Information
Summary:背景.喀血の原因が下横隔膜動脈と肺血管との吻合であるという報告は少ない.症例.66歳女性.主訴は喀血.1993年に右横隔膜下膿瘍,1998年に右肺下葉に腫瘤状陰影を指摘されていた.2002年6月26日,喀血にて入院した.気管支鏡検査にて右下幹からの出血を認めた.気管支動脈造影では責任血管は同定されず,右下横隔膜動脈造影にて肺血管との吻合を認めた.右下横隔膜動脈塞栓術を行い一旦止血に成功したが,2002年12月25日に再度喀血し,右下葉切除を行った.右肺下葉の腫瘤状病変は肺膿瘍であり,右下横隔膜動脈と肺血管との吻合に一致した部位に存在した.結論.横隔膜下膿瘍に伴い炎症が経横隔膜的に下肺に波及し,さらに肺膿瘍を併発したことが右下横隔膜動脈と肺血管との吻合を形成した機序と考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.25.5_358