重度喫煙女性の肺門部早期扁平上皮癌 2 病巣を含む肺三重癌の 1 例

• Published in: The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 19; no. 6; pp. 467 - 471
• Main Authors: 保科, 克行, 小泉, 澄彦, 雨宮, 隆太, 吉見, 富洋, 黒木, 義浩, 大塚, 弘毅, 朝戸, 裕二, 井上, 真也, 小野, 久之, 板橋, 正幸
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1997; 日本気管支学会; The Japan Society for Respiratory Endoscopy
• Subjects: Early stage hilar type lung cancer; Endoscopic laser therapy; Synchronous triple lung cancer; 内視鏡的Nd-YAGレーザー治療; 同時性肺多発三重癌; 女性の肺門部早期癌; 連続的粘膜分割鉗子切除
• ISSN: 0287-2137; 2186-0149
• DOI: 10.18907/jjsre.19.6_467

今回, 我々は重度喫煙女性(BI : 920)に2つの肺門部早期肺癌病巣を含む同時性肺三重癌を経験した。症例は閉経後16年経過した66歳の女性で, 夜間の咳嗽を主訴に来院した。胸部画像診断上, 右S^ に空洞を伴う4cm大の腫瘤影を認めた。確定診断を目的とした気管支鏡検査時, 右B^1+B^2とB^3の分岐部に境界明瞭な9×4mm大の低隆起性病変と左上下葉支分岐部に4×3mm大の粘膜の肥厚を認めた。右S^ の経気管支腫瘍生検も含め, 3病巣とも扁平上皮癌であり, 同時性肺多発三重癌と診断した。本症例は, 術前肺機能検査でFEV_<1.0>が1.571と低値であったため, S^ の末梢型病巣に対しては右下葉切除を, 他の2つの内視鏡的肺門部早期癌病巣には, 病巣粘膜の連続的短冊状分割鉗子切除後にNd-YAGレーザー治療を施行した。多発肺癌の症例には, 術前肺機能検査結果を考慮し治療方針を選択すべきと考えられた。また, 肺門部多発早期肺癌の女性の報告例は少なく, 術前に診断し得た症例は本邦では本例が初めてと思われる。肺門部早期多発肺癌を含む女性の肺三重癌を経験したので, 文献的考察を加え報告する。