ミトコンドリアを標的とした遺伝子治療に向けて
「1. はじめに~ミトコンドリアを標的とした遺伝子治療・核酸医薬~」ヒトミトコンドリアは核とは異なる独自のDNA(mitochondrial DNA;mtDNA)をミトコンドリアの最深部・マトリックスに有しており, エネルギー産生に必須の13種類のタンパク質, 22種類のtRNA, 2種類のrRNAをコードしている. マトリックス内に存在するmtDNAは, マトリックス内の転写・翻訳を含む独自の遺伝子発現系により, 電子伝達系に関与するタンパク質を合成する1). 一方で, ミトコンドリアの維持のためには, ミトコンドリア内部から合成されたタンパク質では足りず, その99%は核DNAから翻訳され...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 132; no. 12; pp. 1389 - 1398 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.12.2012
日本薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.12-00235-3 |
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Summary: | 「1. はじめに~ミトコンドリアを標的とした遺伝子治療・核酸医薬~」ヒトミトコンドリアは核とは異なる独自のDNA(mitochondrial DNA;mtDNA)をミトコンドリアの最深部・マトリックスに有しており, エネルギー産生に必須の13種類のタンパク質, 22種類のtRNA, 2種類のrRNAをコードしている. マトリックス内に存在するmtDNAは, マトリックス内の転写・翻訳を含む独自の遺伝子発現系により, 電子伝達系に関与するタンパク質を合成する1). 一方で, ミトコンドリアの維持のためには, ミトコンドリア内部から合成されたタンパク質では足りず, その99%は核DNAから翻訳され輸送されている. 核DNAから翻訳されたタンパク質は, N末端にミトコンドリアターゲットシグナル(mitochondrial targeting signal;MTS)が付加されることで, ミトコンドリア外膜, 内膜, 膜間腔, マトリックスへの局在が決定されている. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.12-00235-3 |