気管支内穿通前後で内視鏡所見を観察し得た気管支結石症の1例

背景.本邦における気管支結石症の主な成因は石灰化したリンパ節の気管支内穿通と考えられている.一方で,実際に,気管支鏡にて石灰化リンパ節が穿通をきたす過程を観察し得た報告はまれである.症例.80歳女性.右肺の異常陰影の精査加療目的に当院紹介受診となった.胸部CTでは右中葉中枢側に石灰化陰影とその末梢に無気肺を認め,気管支鏡所見は右中葉入口部が浮腫状隆起性病変により閉塞していた.病理所見では気管支上皮下に炎症細胞の浸潤を認めるのみであった.その後異常陰影が悪化し,再度気管支内視鏡検査を施行.同部位に不整型の結石の出現を認めた.結石は周囲との癒着がみられたが,内視鏡下に摘出可能であった.結石の鍍銀染...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 36; no. 2; pp. 132 - 137
Main Authors 後藤, 秀人, 坂本, 和裕, 野本, 美智留, 李, 相憲, 安藤, 耕平, 山川, 泰, 椿原, 基史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2014
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.36.2_132

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Summary:背景.本邦における気管支結石症の主な成因は石灰化したリンパ節の気管支内穿通と考えられている.一方で,実際に,気管支鏡にて石灰化リンパ節が穿通をきたす過程を観察し得た報告はまれである.症例.80歳女性.右肺の異常陰影の精査加療目的に当院紹介受診となった.胸部CTでは右中葉中枢側に石灰化陰影とその末梢に無気肺を認め,気管支鏡所見は右中葉入口部が浮腫状隆起性病変により閉塞していた.病理所見では気管支上皮下に炎症細胞の浸潤を認めるのみであった.その後異常陰影が悪化し,再度気管支内視鏡検査を施行.同部位に不整型の結石の出現を認めた.結石は周囲との癒着がみられたが,内視鏡下に摘出可能であった.結石の鍍銀染色標本所見及び臨床経過より,気管支結石は気管支内に穿通した石灰化リンパ節と考えられた.結論.気管支内穿通前後で気管支鏡所見を観察し得た気管支結石の1例を経験した.気管支結石が石灰化リンパ節であることを示した貴重な症例と考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.36.2_132