気管支動脈瘤を認めた喀血の1例

背景.基礎疾患のない患者の喀血において気管支動脈瘤を認めることは稀である.症例.54歳,男性.喀血を主訴として当科に入院した.胸部X線では右上肺野に浸潤影を認めた.胸部CTでは右S^1,S^2の気管支周囲に不均一な濃度上昇域と末梢肺野にスリガラス様陰影を認め,肺出血と考えられた.気管支鏡では右B^2に凝血塊と少量の出血を認めた.内視鏡的治療により止血しえなかったため,気管支動脈造影を施行したところ,右気管支動脈に約1mm大の動脈瘤を認めた.この動脈瘤より右上葉枝への造影剤の流出を認めたため責任病巣と判断し,その中枢側で塞栓した.気管支動脈塞栓術後は喀血を認めていない.結論.診断と治療に気管支動...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 24; no. 7; pp. 542 - 545
Main Authors 京樂, 由佳, 伊井, 敏彦, 平塚, 雄聡, 床島, 眞紀, 隈本, 健司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2002
日本気管支学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:背景.基礎疾患のない患者の喀血において気管支動脈瘤を認めることは稀である.症例.54歳,男性.喀血を主訴として当科に入院した.胸部X線では右上肺野に浸潤影を認めた.胸部CTでは右S^1,S^2の気管支周囲に不均一な濃度上昇域と末梢肺野にスリガラス様陰影を認め,肺出血と考えられた.気管支鏡では右B^2に凝血塊と少量の出血を認めた.内視鏡的治療により止血しえなかったため,気管支動脈造影を施行したところ,右気管支動脈に約1mm大の動脈瘤を認めた.この動脈瘤より右上葉枝への造影剤の流出を認めたため責任病巣と判断し,その中枢側で塞栓した.気管支動脈塞栓術後は喀血を認めていない.結論.診断と治療に気管支動脈造影および気管支動脈塞栓術が有用であった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.24.7_542