心膜と肋間筋弁を用いて気管支断端パッチ閉鎖術を施行した肺癌の1例
背景.気管支レベルでのパッチ閉鎖術の報告は極めて少ない.症例.67歳.男性.左肺下葉に5cm大の腫瘤陰影を認め,気管支鏡下生検にて腺癌の診断が得られた.葉気管間および気管支周囲リンパ節に転移がみられ,下葉支から上・下幹分岐部に浸潤を認めた.下葉切除と徹底したリンパ節郭清を行った後,気管支を形成・トリミングし心膜を用いたパッチ閉鎖と有茎肋間筋弁による被覆を施行した.術後は合併症なく順調に経過し,術後3カ月後の気管支鏡検査では心膜グラフトは平滑な気管支上皮で覆われていた.結論.肺癌症例に対する本術式の適応には慎重を要するが,本法は有用な気管支閉鎖法のひとつになりうる....
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 34; no. 2; pp. 144 - 147 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2012
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.34.2_144 |
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Summary: | 背景.気管支レベルでのパッチ閉鎖術の報告は極めて少ない.症例.67歳.男性.左肺下葉に5cm大の腫瘤陰影を認め,気管支鏡下生検にて腺癌の診断が得られた.葉気管間および気管支周囲リンパ節に転移がみられ,下葉支から上・下幹分岐部に浸潤を認めた.下葉切除と徹底したリンパ節郭清を行った後,気管支を形成・トリミングし心膜を用いたパッチ閉鎖と有茎肋間筋弁による被覆を施行した.術後は合併症なく順調に経過し,術後3カ月後の気管支鏡検査では心膜グラフトは平滑な気管支上皮で覆われていた.結論.肺癌症例に対する本術式の適応には慎重を要するが,本法は有用な気管支閉鎖法のひとつになりうる. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.34.2_144 |