プロトンポンプ型微生物ロドプシンのプロトン輸送機構に関する研究
「1. はじめに」微生物ロドプシンは, レチナールを発色団に持つ光受容膜タンパク質である. 薬の主要な標的分子であるGタンパク質共役型受容体と同様の7回膜貫通型構造をとり, 私たち高等生物に存在する視物質ロドプシンと類似のタンパク質であるが, 光反応の点で異なる性質を有している. 微生物ロドプシンは極大吸収波長 (maximum absorption wavelength : λmax) に相当する可視光を吸収することで, 発色団レチナールの光異性化をきっかけに, 構造・吸収波長の異なるいくつかの中間体を経て, 再び始状態へと戻る環状の光反応 (フォトサイクルという) を示す. この反応は,...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 143; no. 2; pp. 111 - 118 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.02.2023
日本薬学会 |
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Summary: | 「1. はじめに」微生物ロドプシンは, レチナールを発色団に持つ光受容膜タンパク質である. 薬の主要な標的分子であるGタンパク質共役型受容体と同様の7回膜貫通型構造をとり, 私たち高等生物に存在する視物質ロドプシンと類似のタンパク質であるが, 光反応の点で異なる性質を有している. 微生物ロドプシンは極大吸収波長 (maximum absorption wavelength : λmax) に相当する可視光を吸収することで, 発色団レチナールの光異性化をきっかけに, 構造・吸収波長の異なるいくつかの中間体を経て, 再び始状態へと戻る環状の光反応 (フォトサイクルという) を示す. この反応は, 繰り返しの光刺激で何度でも再現可能なため, タンパク質の機能発現を光により制御できるという利点を持ち, 膜タンパク質のモデル系として機能解析に恰好の材料となっている. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.22-00184 |