右上葉無気肺を呈したサルコイドーシスの1例

背景.サルコイドーシスに無気肺を合併した報告例は少なく比較的珍しいとされる.症例.69歳,女性.1978年に胸部X線異常を指摘され,ダニエル生検の結果よりサルコイドーシスと診断された.以後外来にて経過観察されていたが特に変化はみられていなかった.2007年の4月の定期受診時,特に自覚症状はなかったが胸部X線にて右上肺の無気肺がみられた.胸部CTでは両側肺門部および縦隔に多発する腫大したリンパ節を認め,気管支鏡では右上葉支の外方からの圧排が疑われる狭窄所見を認めた.右上葉支より気管支生検を行ったが,病理所見は軽度の小円形炎症細胞浸潤を認めるのみでサルコイドーシスを診断できる所見は認められなかった...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 31; no. 2; pp. 79 - 82
Main Authors 礒沼, 弘, 福田, 洋, 坂本, 直治, 杉原, 栄一郎, 檀原, 高, 渡辺, 由希子, 鈴木, 勉, 高橋, 美妃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2009
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.31.2_79

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Summary:背景.サルコイドーシスに無気肺を合併した報告例は少なく比較的珍しいとされる.症例.69歳,女性.1978年に胸部X線異常を指摘され,ダニエル生検の結果よりサルコイドーシスと診断された.以後外来にて経過観察されていたが特に変化はみられていなかった.2007年の4月の定期受診時,特に自覚症状はなかったが胸部X線にて右上肺の無気肺がみられた.胸部CTでは両側肺門部および縦隔に多発する腫大したリンパ節を認め,気管支鏡では右上葉支の外方からの圧排が疑われる狭窄所見を認めた.右上葉支より気管支生検を行ったが,病理所見は軽度の小円形炎症細胞浸潤を認めるのみでサルコイドーシスを診断できる所見は認められなかった.しかし特に悪性を示唆する所見も認められず,また経過中のACEの上昇も含め,サルコイドーシスに伴う腫大したリンパ節による気道外からの気管支の圧迫狭窄によるものが主な原因と考えられた.結論.本例は約30年の経過観察の中で無気肺を呈したサルコイドーシスであった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.31.2_79