肺微小病変に対する気管支鏡下バリウムマーキングの有用性と安全性の検討

【目的】CT検診により胸部X線写真では指摘できない肺微小病変が発見されるようになってきた. 今回, 私達は径15mm以下の肺野末梢の微小病変に対し胸腔鏡下肺部分切除の部位決定のためバリウムマーキングを行い, その有用性と安全性を検討した. 【対象と方法】CTにて径15mm以下の肺野末梢微小病変で気管支鏡下の生検では確定診断が困難な症例を対象とした. 気管支鏡下に領域気管支にカテーテルを挿入し, レントゲン透視下にカテーテルの先端を病巣近傍に誘導し, 50%硫酸バリウムを注入した. その後, CTにてマーキングが適格に行われたことを確認し, 胸腔鏡下肺部分切除を行った. 【結果】これまで実施した...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 25; no. 3; p. 183
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Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2003
日本気管支学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.25.3_183_1

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Summary:【目的】CT検診により胸部X線写真では指摘できない肺微小病変が発見されるようになってきた. 今回, 私達は径15mm以下の肺野末梢の微小病変に対し胸腔鏡下肺部分切除の部位決定のためバリウムマーキングを行い, その有用性と安全性を検討した. 【対象と方法】CTにて径15mm以下の肺野末梢微小病変で気管支鏡下の生検では確定診断が困難な症例を対象とした. 気管支鏡下に領域気管支にカテーテルを挿入し, レントゲン透視下にカテーテルの先端を病巣近傍に誘導し, 50%硫酸バリウムを注入した. その後, CTにてマーキングが適格に行われたことを確認し, 胸腔鏡下肺部分切除を行った. 【結果】これまで実施した症例は9例で年齢は61. 0±4. 4歳(mean±se), 男性4名, 女性5名であった. 病変の径は9. 2±1. 2mm, 注入したバリウム量は0. 64±0. 12mlであり, いずれの症例も病変部に一致してマーキングすることができた. マーキングから手術までの日数は22. 6±7. 0日であり, 胸腔鏡下手術ではマーキング部は乳白色を呈し, 切除部位を容易に確認することができた. 病理組織の結果は, 肺癌が4例, 肺内リンパ節が2例, 炎症性腫瘤が1例, 繊維化病巣が2例であった. 【結論】気管支鏡下バリウムマーキングは出血, 気胸等の合併症もなく, また, 胸腔鏡下手術時にマーキング部を容易に確認でき, 安全で有用な検査方法と考えられる.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.25.3_183_1