食道癌手術後に偶然発見された炎症性気管支ポリープの 1 例

症例は82歳, 男性。食道癌にて当院外科入院。術後, 喀痰吸引目的にて施行した気管支鏡にて右中間気管支幹(右B^6入口部)に隆起性病変を認めた。生検では, 表面は扁平上皮化生により被われ, 内部は粗な線維性結合組織であり, リンパ球, 形質細胞などの炎症細胞浸潤を認め, 炎症性ポリープと診断した。内視鏡的には食道癌の浸潤はなく, 病理組織的にも悪性の所見を認めなかった。ポリープは気管支鏡下に鉗除した。炎症性気管支ポリープは比較的稀な疾患であり, その成因に関しては諸説がみられるが結論は得られていない。本例は胸部レ線上, 肺野に異常所見を認めず, ポリープによると思われる臨床症状も認められなかっ...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 16; no. 7; pp. 676 - 680
Main Authors 小林, 俊夫, 小山, 茂, 宮原, 隆成, 堀江, 史朗, 本田, 孝行, 関口, 守衛, 久保, 恵嗣, 小泉, 知展
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1994
日本気管支学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.16.7_676

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Summary:症例は82歳, 男性。食道癌にて当院外科入院。術後, 喀痰吸引目的にて施行した気管支鏡にて右中間気管支幹(右B^6入口部)に隆起性病変を認めた。生検では, 表面は扁平上皮化生により被われ, 内部は粗な線維性結合組織であり, リンパ球, 形質細胞などの炎症細胞浸潤を認め, 炎症性ポリープと診断した。内視鏡的には食道癌の浸潤はなく, 病理組織的にも悪性の所見を認めなかった。ポリープは気管支鏡下に鉗除した。炎症性気管支ポリープは比較的稀な疾患であり, その成因に関しては諸説がみられるが結論は得られていない。本例は胸部レ線上, 肺野に異常所見を認めず, ポリープによると思われる臨床症状も認められなかった。今後気管支鏡検査の普及に伴い, 臨床症状を示さない段階で偶然に発見される炎症性ポリープが多くなることが予想される。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.16.7_676