呼吸器内科医による経皮的気管切開術と外科的気管切開の比較検討

背景.近年気管切開の方法として経皮的気管切開術(PDT)が増えている.しかし内科医・呼吸器内科医が施行することの意義については,十分論じられていない.目的.呼吸器内科医によるPDTの臨床的有用性の検討.方法.2005年8月〜2007年12月の間に医療法人近森会,近森会病院内で気管切開術を施行された患者全47例を対象として施行時間,出血量,合併症について医療記録を基にretrospectiveに検討した.結果.呼吸器内科医によるPDTが26例,外科的気管切開術(ST)が21例に施行され,両群の年齢の中央値はそれぞれ79歳(59〜93歳)と71歳(40〜82歳)であった.PDTは25例で気管支ファ...

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Published in気管支学 Vol. 32; no. 2; pp. 115 - 119
Main Authors 石田, 正之, 山本, 彰, 中間, 貴弘, 鈴木, 基, 田中, 健之, 島崎, 貴治, 土橋, 佳子, 森本, 浩之輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
日本呼吸器内視鏡学会
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Summary:背景.近年気管切開の方法として経皮的気管切開術(PDT)が増えている.しかし内科医・呼吸器内科医が施行することの意義については,十分論じられていない.目的.呼吸器内科医によるPDTの臨床的有用性の検討.方法.2005年8月〜2007年12月の間に医療法人近森会,近森会病院内で気管切開術を施行された患者全47例を対象として施行時間,出血量,合併症について医療記録を基にretrospectiveに検討した.結果.呼吸器内科医によるPDTが26例,外科的気管切開術(ST)が21例に施行され,両群の年齢の中央値はそれぞれ79歳(59〜93歳)と71歳(40〜82歳)であった.PDTは25例で気管支ファイバースコープ(BF)補助下に,11例でラリンジアルマスク(LMA)併用下に施行されていた.平均手術時間はPDT群で14分10秒,ST群で36分20秒であった.術中から術後1日までの出血量はPDT群に少ない傾向にあった.考察.PDTにおいて,手術時間が短時間で施行でき,出血量も有意に少なかった.特にBFによる補助を行うことで可視下に手技を施行することが可能で,安全に施行された.さらにLMAを併用することで,挿管チューブの移動やチューブ誤穿刺を回避でき,呼吸補助を要する例では安定した換気下に施行することが可能であり,有用な手技と考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.2_115