気道軟骨炎より発症した再発性多発性軟骨炎(Relapsing polychondritis)の1例
症例は57歳の男性. 2001年10月より咳嗽, 嗄声, 発熱が出現し, 近医に通院するも改善せず. 咳嗽時の呼吸困難も伴うようになり, 10月26日耳鼻科を紹介され入院. しかし発熱, 咳嗽が続き, 内科へ転科となる. 当科入院時の胸部CT写真は, 気管壁の全周性の肥厚と左右主気管支の狭小化を呈し, 肺野では両上肺野から中肺野にかけ粒状影を認めた. その後の気管支鏡検査は, 声門直下から気管分岐部にいたる気管軟骨輪は消失し, 気管から両気管支の著明な粘膜腫脹と狭窄を認めた. Prednisolone 60mg/dayの投与で, 発熱, 咳嗽などの改善を認め, 以後30mg/dayまで漸減した...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 25; no. 3; p. 241 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2003
日本気管支学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.25.3_241_1 |
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Summary: | 症例は57歳の男性. 2001年10月より咳嗽, 嗄声, 発熱が出現し, 近医に通院するも改善せず. 咳嗽時の呼吸困難も伴うようになり, 10月26日耳鼻科を紹介され入院. しかし発熱, 咳嗽が続き, 内科へ転科となる. 当科入院時の胸部CT写真は, 気管壁の全周性の肥厚と左右主気管支の狭小化を呈し, 肺野では両上肺野から中肺野にかけ粒状影を認めた. その後の気管支鏡検査は, 声門直下から気管分岐部にいたる気管軟骨輪は消失し, 気管から両気管支の著明な粘膜腫脹と狭窄を認めた. Prednisolone 60mg/dayの投与で, 発熱, 咳嗽などの改善を認め, 以後30mg/dayまで漸減した. 2002年1月末の再検時の気管支鏡検査で, なお粘膜腫脹が強いためFluticazoneの吸入も併用し, 退院とした. しかし2002年3月頃より, 耳介の腫脹, 変形から眼充血, 耳鳴, 眩量, 鞍鼻, 背部痛など多彩な症状が出現した. 5月の再入院後に施行した耳介生検で, 軟骨炎の組織所見を認め, McAdamの診断基準より, 再発性多発性軟骨炎と診断した. PrednisoloneとFluticazoneの吸入で, 呼吸器症状は軽快したが, 眩量, 眼充血, ふらつきや倦怠感などの改善は得られず. m-PSLのステロイドパルス療法後, Dapsone, CyclophosphamideをPrednisoloneに追加併用し, 一応の寛解が得られた. Dapsoneは副作用で中止したが, 2003年1月現在, 気道狭窄など認めていない. 若干の文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.25.3_241_1 |