特発性器質化肺炎における BALF 細胞成分の検討

器質化肺炎(OP)は病理学的に2つのtypeに分類される。Type I OPはマッソン体中にフィブリン陰性でステロイドにて完全に陰影の消失する群であり, typeII OPはフィブリン陽性でステロイドにて陰影の改善する群である。我々はそれぞれの群のBALFの細胞成分を明らかにし, 両群間の差につき検討した。Type I OP(13例)のBALF細胞は, TCC 1.81×10^5/ml, Ma 85.6%, Nt 4.5%, Ly 9.5%, E 0%, CD4/CD8 1.55であり, type II OP (11例)のBALF細胞は, TCC 2.78×10^5/ml, Ma 69.2%,...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 16; no. 2; pp. 130 - 137
Main Authors 久保, 克仁, 吉野内, 猛夫, 大朏, 祐治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1994
日本気管支学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.16.2_130

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Summary:器質化肺炎(OP)は病理学的に2つのtypeに分類される。Type I OPはマッソン体中にフィブリン陰性でステロイドにて完全に陰影の消失する群であり, typeII OPはフィブリン陽性でステロイドにて陰影の改善する群である。我々はそれぞれの群のBALFの細胞成分を明らかにし, 両群間の差につき検討した。Type I OP(13例)のBALF細胞は, TCC 1.81×10^5/ml, Ma 85.6%, Nt 4.5%, Ly 9.5%, E 0%, CD4/CD8 1.55であり, type II OP (11例)のBALF細胞は, TCC 2.78×10^5/ml, Ma 69.2%, Nt 24.5%, Ly 6.4%, E 0%, CD4/CD8 1.46であり, 両群間に有意差は認められなかった。これらの項目と自覚症状出現からBAL施行までの期間との間には, 両群ともLyの%とのみ正の相関が認められた (p<0.02, p<0.002)。さらに, 前述の項目とBAL施行日のCRPとの間にはCRPとtypeII OPのNtの%との間に正の相関がみられた(p<0.02)。以上の結果から, OPの器質化過程にはリンパ球が関与しており, またtypeII OPでは好中球も関与しているものと思われた。又, BAL施行にあたってはその施行時期, OPのtype, 炎症の程度に注意を払うべきだと考える。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.16.2_130