声門下狭窄に対するTチューブ挿入の2例

声門下狭窄は気管切開の適応であるが, 発声ができないためQOLは低下する。我々はTチューブを挿入することにより発声が可能になりQOLの向上が得られた症例を経験したので報告する。症例1は55歳の女性, 自殺企図より前頚部を刺傷し, 甲状軟骨から第2輪状軟骨まで挫滅があり, 可及的に縫合後Tチューブを挿入した。術後6ヵ月でTチューブを抜去し, 術後3年の現在狭窄の症状はない。症例2は63歳の男性, 冠動脈バイパス術後喀痰排出障害のためトラヘルパーを8日間挿入された。その後声門下に肉芽形成をきたし, 気管切開後Tチューブを挿入した。8ヵ月の現在, 発語, 食事ともに問題はなく, QOLの改善が得られ...

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Published in気管支学 Vol. 23; no. 1; pp. 55 - 59
Main Authors 赤嶺, 晋治, 岡, 忠之, 高橋, 孝郎, 森永, 真史, 永安, 武, 村岡, 昌司, 澤田, 貴裕, 山吉, 隆之, 田川, 泰, 綾部, 公懿
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2001
日本気管支学会
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Summary:声門下狭窄は気管切開の適応であるが, 発声ができないためQOLは低下する。我々はTチューブを挿入することにより発声が可能になりQOLの向上が得られた症例を経験したので報告する。症例1は55歳の女性, 自殺企図より前頚部を刺傷し, 甲状軟骨から第2輪状軟骨まで挫滅があり, 可及的に縫合後Tチューブを挿入した。術後6ヵ月でTチューブを抜去し, 術後3年の現在狭窄の症状はない。症例2は63歳の男性, 冠動脈バイパス術後喀痰排出障害のためトラヘルパーを8日間挿入された。その後声門下に肉芽形成をきたし, 気管切開後Tチューブを挿入した。8ヵ月の現在, 発語, 食事ともに問題はなく, QOLの改善が得られた。声門下狭窄に対するTチューブは, 気管切開部と声門までの正確な距離を測定し, 声帯に触れないように声門直下に留置することにより, 気道確保と発声保持ができQOLが得られた。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.23.1_55