当院における仮想気管支鏡像をナビゲーションとした末梢肺野病変の診断経験

背景.マルチスライスCT装置を用いたthin-section CT画像から作成した仮想気管支鏡像をナビゲーションとして,末梢肺野病変の生検が可能になっている.目的.本診断法の限界や問題点を検討する.方法.CTのみで末梢肺野に小結節あるいはスリガラス様病変が確認される46例に対し,気管分岐部から病変部に直接入る気管支(関与気管支)か,病変近傍の気管支までの仮想内視鏡像を,既存のワークステーション(ZIO M900 Quadra^[○!R])を用いて作成,それをナビゲーションとしたCT透視下経気管支生検を,極細径気管支鏡を用いて行った.そして病変径,関与気管支同定の状況,生検鉗子の到達状況と,生検...

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Published in気管支学 Vol. 32; no. 2; pp. 120 - 126
Main Authors 馬場, 研二, 西村, 眞樹, 田中, 博之, 河合, 聖子, 横江, 徳仁, 高橋, 大輔, 八木, 健郎, 服部, 努, 山口, 悦郎, 渡辺, 哲, 近藤, 賢一, 望月, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
日本呼吸器内視鏡学会
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Summary:背景.マルチスライスCT装置を用いたthin-section CT画像から作成した仮想気管支鏡像をナビゲーションとして,末梢肺野病変の生検が可能になっている.目的.本診断法の限界や問題点を検討する.方法.CTのみで末梢肺野に小結節あるいはスリガラス様病変が確認される46例に対し,気管分岐部から病変部に直接入る気管支(関与気管支)か,病変近傍の気管支までの仮想内視鏡像を,既存のワークステーション(ZIO M900 Quadra^[○!R])を用いて作成,それをナビゲーションとしたCT透視下経気管支生検を,極細径気管支鏡を用いて行った.そして病変径,関与気管支同定の状況,生検鉗子の到達状況と,生検診断率との関係について検討した.結果.CTで関与気管支が同定された症例は27例,うち21例(77.8%)で確定診断が得られた.病変径が10mm未満の場合は,関与気管支のみならず,病変に入る肺動脈も同定不能で,生検鉗子を病変部に到達させることができなかった.本法による肺癌診断の感度は64.1%,特異度100%,そして疾患の正診率は65.9%であった.結論.CTで関与気管支が同定できる場合,本診断法は末梢肺野病変の診断に有用で,気管支に特化していない既存の仮想内視鏡像作成ソフトも実用的であった.しかし,病変への肺動脈も関与気管支も同定不能な状況では,本診断法に限界があると考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.2_120