Nd-YAG レーザー焼灼術施行後切除した気管腺様嚢胞癌の 1 例

Nd-YAGレーザー焼灼術後, 外科的に切除した気管腺様嚢胞癌の1例を報告した。43歳の女性で3年前より咳嗽を自覚するようになり, 徐々に増悪した。胸部X線写真にて肺野の異常影を疑われ, 胸部CTを撮影したところ, 肺野には異常なく, 気管をほぼ閉塞する腫瘤が認められた。気管支鏡検査では, 声帯から第4軟骨輪の部位に, ほぼ気管を閉塞する表面平滑で拡張した血管を伴った腫瘤が認められた。出血による気管閉塞の恐れがあるため生検, 擦過細胞診は行わなかった。全麻下の機械呼吸では気道確保が困難であるとの判断にて, 自発呼吸下にてレーザー焼灼術を行い, 気道を確保した。レーザー施行時の生検組織にて腺様嚢...

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Published in気管支学 Vol. 17; no. 6; pp. 506 - 511
Main Authors 本田, 孝行, 早坂, 宗治, 佐藤, 悦郎, 森田, 正重, 久保, 恵嗣, 酒井, 文和, 羽生田, 正行, 柴田, 達彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1995
日本気管支学会
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Summary:Nd-YAGレーザー焼灼術後, 外科的に切除した気管腺様嚢胞癌の1例を報告した。43歳の女性で3年前より咳嗽を自覚するようになり, 徐々に増悪した。胸部X線写真にて肺野の異常影を疑われ, 胸部CTを撮影したところ, 肺野には異常なく, 気管をほぼ閉塞する腫瘤が認められた。気管支鏡検査では, 声帯から第4軟骨輪の部位に, ほぼ気管を閉塞する表面平滑で拡張した血管を伴った腫瘤が認められた。出血による気管閉塞の恐れがあるため生検, 擦過細胞診は行わなかった。全麻下の機械呼吸では気道確保が困難であるとの判断にて, 自発呼吸下にてレーザー焼灼術を行い, 気道を確保した。レーザー施行時の生検組織にて腺様嚢胞癌と診断した。その後, 根治目的にて腫瘍切除術を施行し, 放射線照射を追加した。気管腫瘍は, 通常の検診では発見がむずかしく, 症状が出現した時には気管をほぼ閉塞していることが多い。検査, 治療も常に気管閉塞(窒息)を念頭におく必要があり, 選択に苦慮することが多い。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.17.6_506