ストレスチェック制度における集団分析の統計学的留意点

「はじめに」改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度が, 平成27年12月1日に施行された. 本制度の目的は, 労働者自身のセルフケアの促進と, ストレスの原因となる職場環境の改善によってメンタルヘルス不調の一次予防を図ることである. 職場環境改善の方法として, 実施者はストレスチェック結果を集団的な集計・分析によって職場のストレス傾向を把握し, 専門的見地から事業主に対して助言を行い, 事業者は職場環境の改善のための取り組みを行うことが努力義務とされている. 集団的な集計・分析の具体的な方法は事業者が衛生委員会等において調査審議すべき事項とされている. 「労働安全衛生法に基づくストレス...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 59; no. 2; pp. 63 - 66
Main Author 山下, 貴裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本産業衛生学会 20.03.2017
日本産業衛生学会
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ISSN1341-0725
1349-533X
DOI10.1539/sangyoeisei.16-021-W

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Summary:「はじめに」改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度が, 平成27年12月1日に施行された. 本制度の目的は, 労働者自身のセルフケアの促進と, ストレスの原因となる職場環境の改善によってメンタルヘルス不調の一次予防を図ることである. 職場環境改善の方法として, 実施者はストレスチェック結果を集団的な集計・分析によって職場のストレス傾向を把握し, 専門的見地から事業主に対して助言を行い, 事業者は職場環境の改善のための取り組みを行うことが努力義務とされている. 集団的な集計・分析の具体的な方法は事業者が衛生委員会等において調査審議すべき事項とされている. 「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(平成28年4月改訂版)」(以下, 実施マニュアル)には, 仕事のストレス判定図を用いた評価例や, 集団的な集計・分析に関する注意点が示されている. 職業性ストレス簡易調査票に基づく仕事のストレス判定図は, 平成7~11年度労働省「作業関連疾患の予防に関する研究」によって開発され, 職場や作業グループなどの集団を対象として目にみえない仕事上のストレス要因を評価し, それらが労働者の健康にどの程度影響を与えているかを判定するためのツールであり, 標準集団(全国平均)と比較可能である.
ISSN:1341-0725
1349-533X
DOI:10.1539/sangyoeisei.16-021-W