胸腔鏡にて診断が得られたサルコイドーシス胸膜炎の1例

背景.胸膜病変を伴うサルコイドーシスは稀であるとされる.胸腔鏡検査が有用であったサルコイドーシス胸膜炎の症例を経験したため報告する.症例.74歳,女性.胸部X線で両側肺門部リンパ節腫大を認め当科紹介となる.精査の結果,肺サルコイドーシスと診断.ステロイド治療は行わず経過観察とした.外来にて定期的に経過観察を行っていたが,11年後に労作時呼吸困難を自覚.胸部X線で両側胸水を認めた.心機能は正常であり胸水貯留の原因としてサルコイドーシス胸膜炎が疑われ,胸腔鏡による胸膜生検を施行した.胸腔鏡所見で壁側胸膜に散在性に存在する白色調の表面平滑な隆起性病変を確認し,この病変を生検した.組織学的所見で類上皮...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 30; no. 3; pp. 139 - 143
Main Authors 芦沼, 宏典, 佐々木, 一義, 笠松, 紀雄, 小林, 健, 矢野, 利章, 柴田, 雅彦, 橋爪, 一光, 籾木, 茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2008
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.30.3_139

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Summary:背景.胸膜病変を伴うサルコイドーシスは稀であるとされる.胸腔鏡検査が有用であったサルコイドーシス胸膜炎の症例を経験したため報告する.症例.74歳,女性.胸部X線で両側肺門部リンパ節腫大を認め当科紹介となる.精査の結果,肺サルコイドーシスと診断.ステロイド治療は行わず経過観察とした.外来にて定期的に経過観察を行っていたが,11年後に労作時呼吸困難を自覚.胸部X線で両側胸水を認めた.心機能は正常であり胸水貯留の原因としてサルコイドーシス胸膜炎が疑われ,胸腔鏡による胸膜生検を施行した.胸腔鏡所見で壁側胸膜に散在性に存在する白色調の表面平滑な隆起性病変を確認し,この病変を生検した.組織学的所見で類上皮細胞や多核巨細胞からなる非乾酪性の肉芽腫病変を認め,サルコイドーシス胸膜炎と診断した.結論.サルコイドーシス胸膜炎を診断する方法として,胸腔鏡による胸膜生検は有用性が高いと考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.30.3_139