気管支結核症の診断

気管支結核症の診断上の要点を検索する目的で, 1992年6月から2000年5月までの間に当院にて診断された活動性気管支結核患者33例(男性14例, 女性19例)を対象に, その臨床経過, 入院時検査所見・画像所見および気管支鏡検査所見を検討した。有症状受診が大部分を占め, 主な自覚症状は咳嗽, 喀痰, 発熱である。臨床検査所見では赤沈とツベルクリン反応を除き, 正常値に近似しているものが大部分である。また, 喀痰の塗抹陽性率は63%と高率である。診断の端著となる胸部X腺画像の肺野病変は多彩であるが, 軽症例も稀ではない。CT画像では中枢気道の狭窄や途絶像が19例に認められた。しかし, 肺野病巣...

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Published in気管支学 Vol. 23; no. 4; pp. 341 - 346
Main Authors 倉澤, 卓也, 佐藤, 敦夫, 中谷, 光一, 池田, 雄史, 小栗, 晋, 朝倉, 庄志, 桂, 敦史, 藤田, 美奈子, 游, 逸明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2001
日本気管支学会
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Summary:気管支結核症の診断上の要点を検索する目的で, 1992年6月から2000年5月までの間に当院にて診断された活動性気管支結核患者33例(男性14例, 女性19例)を対象に, その臨床経過, 入院時検査所見・画像所見および気管支鏡検査所見を検討した。有症状受診が大部分を占め, 主な自覚症状は咳嗽, 喀痰, 発熱である。臨床検査所見では赤沈とツベルクリン反応を除き, 正常値に近似しているものが大部分である。また, 喀痰の塗抹陽性率は63%と高率である。診断の端著となる胸部X腺画像の肺野病変は多彩であるが, 軽症例も稀ではない。CT画像では中枢気道の狭窄や途絶像が19例に認められた。しかし, 肺野病巣の分布は二次型肺結核症とは明らかに異なり, 「下肺野結核」が15例あり, 稀ではない。このため, 初診時の診断名も多彩で, 気管支炎や気管支喘息と診断された例では長期の診断の遅れも認められた。気管支鏡で確認された中枢気道病変の部位も多彩である。連続性の潰瘍性病変が主な所見であるが, 孤立性潰瘍性病変が散在する例もあり, 特に高齢者ではリンパ節穿孔による病変が大部分を占めた。肺結核症とは異なる病態を呈する気管支結核症の早期診断には本症の臨床像を理解し, 結核菌検査を励行する事が最も重要である。痰の有無にかかわらず咳嗽等の症状が長引く場合は気管支鏡検査も考慮すべきである。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.23.4_341