分類の困難な気管支アスペルギルス症の1例
症例は63歳男性。咳嗽のため近医受診し, 右上肺野浸潤影を指摘。一般抗生剤にて改善せず当院紹介となった。明らかな基礎疾患はなかった。気管支鏡にて右B^3内腔に黄色膿性分泌物の充満が見られ, 病理組織学的に気管支内腔のみに真菌塊の付着を認めた。菌糸は隔壁を有する円柱状でアスペルギルスと考えられた。アスペルギルスに対するIgE RAST, 皮内反応は陰性だが, 沈降抗体は陽性だった。イトラコナゾール200mg/日の投与で6ヵ月後に陰影は消失した。本症例は気管支内腔にアスペルギルスが腐生的に増殖したが, アレルギー性気管支肺アスペルギルス症に見られるI型アレルギー反応は惹起されなかったものと考えられ...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 23; no. 2; pp. 151 - 156 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2001
日本気管支学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.23.2_151 |
Cover
Summary: | 症例は63歳男性。咳嗽のため近医受診し, 右上肺野浸潤影を指摘。一般抗生剤にて改善せず当院紹介となった。明らかな基礎疾患はなかった。気管支鏡にて右B^3内腔に黄色膿性分泌物の充満が見られ, 病理組織学的に気管支内腔のみに真菌塊の付着を認めた。菌糸は隔壁を有する円柱状でアスペルギルスと考えられた。アスペルギルスに対するIgE RAST, 皮内反応は陰性だが, 沈降抗体は陽性だった。イトラコナゾール200mg/日の投与で6ヵ月後に陰影は消失した。本症例は気管支内腔にアスペルギルスが腐生的に増殖したが, アレルギー性気管支肺アスペルギルス症に見られるI型アレルギー反応は惹起されなかったものと考えられた。分類困難な症例に対し, 気管支アスペルギルス症との名称を用いた報告が散見されるが, 疾患概念は不明確である。今後の症例蓄積により新たな病型分類の確立が必要と考えられた。 |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.23.2_151 |