交通外傷を機転に発症した食物(梅干しの種)による気管支異物の1例

背景. 意識障害患者の気道異物は症状の訴えがないため, 診断が難しい場合がある. 症例. 69歳, 男性. 交通外傷により外傷性くも膜下出血, 第6頸椎骨折, 頸髄損傷, 右上腕骨骨折, 左肺挫傷, 血胸をきたしJapan Coma Scale III-300の状態で入院となった. 気管内挿管し人工呼吸器管理とされていたが, 呼吸不全が遷延した. 入院3日目の胸部単純X線で左下葉に無気肺が出現した. 胸部CTで気管支異物を疑う陰影を認めた. このため, 気管支鏡を施行したところ, 左主気管支末梢に嵌頓する植物種子様の異物を認め, 摘出した. 摘出異物は梅の種子と同定された. その後, 無気肺お...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 27; no. 1; pp. 60 - 64
Main Authors 斎藤, 敏彦, 角昌, 晃, 石川, 成美, 河俣, 真由美, 稲毛, 芳永
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2005
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.27.1_60

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Summary:背景. 意識障害患者の気道異物は症状の訴えがないため, 診断が難しい場合がある. 症例. 69歳, 男性. 交通外傷により外傷性くも膜下出血, 第6頸椎骨折, 頸髄損傷, 右上腕骨骨折, 左肺挫傷, 血胸をきたしJapan Coma Scale III-300の状態で入院となった. 気管内挿管し人工呼吸器管理とされていたが, 呼吸不全が遷延した. 入院3日目の胸部単純X線で左下葉に無気肺が出現した. 胸部CTで気管支異物を疑う陰影を認めた. このため, 気管支鏡を施行したところ, 左主気管支末梢に嵌頓する植物種子様の異物を認め, 摘出した. 摘出異物は梅の種子と同定された. その後, 無気肺および呼吸不全は改善し, 人工呼吸器から離脱した. 結論. 意識障害を伴う交通外傷における遷延性の無気肺や呼吸不全の症例では, 食物による気道異物を鑑別の1つとして念頭に置く必要があると考えられる. 気道異物は誤嚥により発症するが, 誤嚥が明らかな場合と, 誤嚥後, 時間が経過し症状が出現してから気が付かれる場合とがある.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.27.1_60