肺癌治療経過中の急性びまん性肺陰影に対する気管支鏡検査の有用性

肺癌の治療経過中に胸部写真上急速にびまん性陰影が出現し, 診断が確定しないまま時に死の転帰をとる症例を経験することがある。我々は, このような急性びまん性肺陰影に対して細胞診・組織診を含めた一連の気管支鏡検査を施行し, その有用性に関して検討した。病巣に対し, X線透視下に数ヵ所から末梢擦過と経気管支肺生検(TBLB)を施行した。擦過検体に対し, 癌細胞の他に真菌・細菌の検出も考慮して直接塗抹標本をパパニコロー・PAS・グロコット・トルイジンブルー染色と, グラム・ギムザ・チールネルゼン染色を施行した。生検標本に対し, HE・エラスチカマッソン染色の他に, 真菌の検出などを考慮してPAS・アル...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 16; no. 5; pp. 445 - 453
Main Authors 岡庭, 群二, 藤村, 重文, 薄田, 勝男, 斉藤, 泰紀, 佐川, 元保, 菅間, 敬治, 桜田, 晃, 相川, 広一, 高橋, 里美, 陳, 炎, 佐藤, 雅美, 遠藤, 千顕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1994
日本気管支学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.16.5_445

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Summary:肺癌の治療経過中に胸部写真上急速にびまん性陰影が出現し, 診断が確定しないまま時に死の転帰をとる症例を経験することがある。我々は, このような急性びまん性肺陰影に対して細胞診・組織診を含めた一連の気管支鏡検査を施行し, その有用性に関して検討した。病巣に対し, X線透視下に数ヵ所から末梢擦過と経気管支肺生検(TBLB)を施行した。擦過検体に対し, 癌細胞の他に真菌・細菌の検出も考慮して直接塗抹標本をパパニコロー・PAS・グロコット・トルイジンブルー染色と, グラム・ギムザ・チールネルゼン染色を施行した。生検標本に対し, HE・エラスチカマッソン染色の他に, 真菌の検出などを考慮してPAS・アルシアンブルー・グロコット染色を施行した。更に, 特殊血液学的検査として, ウイルス性肺炎の検出にウイルス抗体価検査を薬剤性肺炎の検出にリンパ球刺激試験などを施行した。この一連の検査法を1989年より1993年まで15例に施行し, 13例においてびまん性肺陰影の診断・治療に有益であった。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.16.5_445