細径上部消化管内視鏡を気管内に挿入し切除に成功した気管発生多形腺腫の1例

背景.気管発生の多形腺腫例は稀少であり,細径上部消化管内視鏡にて切除し得た1例を経験したので報告する.症例.57歳.女性.入院3ヵ月前から呼吸困難を自覚し,胸部CTで気管内の腫瘤を指摘され当院へ紹介となった.気管支鏡にて気管内腔を閉塞させるポリープ状の腫瘤を認め,気管支鏡下で高周波スネアを用いたポリペクトミーを図ったが,良好な視野がとれず病変にスネアを効果的にかけることが不可能であり切除できなかった.そこで細径上部消化管内視鏡を気管内に挿入し同様のことを試みたところ,病変を安全に切除し得た.腫瘤は多形腺腫と診断された.結論.上部消化管内視鏡は4方向のアングルが可能で気管支鏡と比較し良好な視野を...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 32; no. 1; pp. 52 - 56
Main Authors 立川, 良, 村瀬, 公彦, 竹嶋, 好, 櫻井, 綾子, 富井, 啓介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.32.1_52

Cover

More Information
Summary:背景.気管発生の多形腺腫例は稀少であり,細径上部消化管内視鏡にて切除し得た1例を経験したので報告する.症例.57歳.女性.入院3ヵ月前から呼吸困難を自覚し,胸部CTで気管内の腫瘤を指摘され当院へ紹介となった.気管支鏡にて気管内腔を閉塞させるポリープ状の腫瘤を認め,気管支鏡下で高周波スネアを用いたポリペクトミーを図ったが,良好な視野がとれず病変にスネアを効果的にかけることが不可能であり切除できなかった.そこで細径上部消化管内視鏡を気管内に挿入し同様のことを試みたところ,病変を安全に切除し得た.腫瘤は多形腺腫と診断された.結論.上部消化管内視鏡は4方向のアングルが可能で気管支鏡と比較し良好な視野を確保しやすい.最近になり開発された経鼻用の細径内視鏡は気管・気管支病変に対しても十分に応用可能であると考えられ,細径上部消化管内視鏡の気管内操作でのさらなる安全性の確立および上部消化管内視鏡と同様の機能を備えた気管支鏡の開発が望まれる.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.1_52