上顎洞内反性乳頭腫に対する手術方法の検討

2003年から2007年の間に東京慈恵会医科大学附属病院にて手術を施行した上顎洞内反性乳頭腫28症例を対象に, 術式についての臨床的検討を行った. 当施設では, 鼻副鼻腔内反性乳頭腫に対しては術前画像から腫瘍基部を推定し, 基部を処置することが可能な手術法を選択して, 手術を施行してきた. 28症例中, 17例に対しては内視鏡下鼻内摘出術が行われ, 11例に対しては内視鏡下鼻内摘出術に加え経上顎洞的腫瘍摘出術が施行された. 上顎洞後方に腫瘍基部がある場合には, 内視鏡下鼻内摘出術で完全摘出が可能であった. 上顎洞前方に腫瘍基部がある場合は, 歯齦部切開を行い, 内視鏡下経上顎洞的腫瘍摘出術を施...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 112; no. 12; pp. 783 - 790
Main Authors 飯村, 慈朗, 波多野, 篤, 森山, 寛, 鴻, 信義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2009
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.112.783

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Summary:2003年から2007年の間に東京慈恵会医科大学附属病院にて手術を施行した上顎洞内反性乳頭腫28症例を対象に, 術式についての臨床的検討を行った. 当施設では, 鼻副鼻腔内反性乳頭腫に対しては術前画像から腫瘍基部を推定し, 基部を処置することが可能な手術法を選択して, 手術を施行してきた. 28症例中, 17例に対しては内視鏡下鼻内摘出術が行われ, 11例に対しては内視鏡下鼻内摘出術に加え経上顎洞的腫瘍摘出術が施行された. 上顎洞後方に腫瘍基部がある場合には, 内視鏡下鼻内摘出術で完全摘出が可能であった. 上顎洞前方に腫瘍基部がある場合は, 歯齦部切開を行い, 内視鏡下経上顎洞的腫瘍摘出術を施行した. 再発した症例は, 上壁から外壁・後壁の広範囲に腫瘍基部を有し, 内視鏡下鼻内摘出術を行った1例のみであった. 再発時には, 内視鏡下経上顎洞的腫瘍摘出術を施行することにより摘出し得た. 上顎洞の内反性乳頭腫に外科治療を施行する際には, 腫瘍基部を確実に摘出することが肝要であるため, 術式は腫瘍基部を推定した上で選択することが有用である.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.112.783