薬剤師によるテイコプラニンの個別化初期投与設計の必要性 —SIRSスコアを用いることの有用性の検討

「緒言」 グリコペプチド系抗菌薬のteicoplanin(TEIC)はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus ; MRSA)に優れた抗菌活性を有する. また, TEICは治療効果と副作用発現が血中濃度に相関する薬剤のため, 薬物治療モニタリング(therapeutic drug monitoring ; TDM)の対象薬である. その目標血中トラフ濃度は, 近年高値の傾向であり, 2012年に日本化学療法学会とTDM学会から発表された抗菌薬TDMガイドラインでは10-30μg/mLを目標血中トラフ濃度としているが,...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 134; no. 12; pp. 1367 - 1373
Main Authors 中野, 貴文, 仲村, 佳彦, 戸川, 温, 髙田, 徹, 石倉, 宏恭, 三島, 健一, 二神, 幸次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 2014
日本薬学会
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Summary:「緒言」 グリコペプチド系抗菌薬のteicoplanin(TEIC)はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus ; MRSA)に優れた抗菌活性を有する. また, TEICは治療効果と副作用発現が血中濃度に相関する薬剤のため, 薬物治療モニタリング(therapeutic drug monitoring ; TDM)の対象薬である. その目標血中トラフ濃度は, 近年高値の傾向であり, 2012年に日本化学療法学会とTDM学会から発表された抗菌薬TDMガイドラインでは10-30μg/mLを目標血中トラフ濃度としているが, その中でも15μg/mL以上を推奨する報告もあり, 福岡大学病院(以下, 当院)においてもより高い治療効果を得るために15μg/mL以上を目標血中トラフ濃度としている. しかし, TEICは半減期が約50時間と長く, タンパク結合率も約90%と高値のため, 速やかに目標血中トラフ濃度を獲得することが困難な薬剤である.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.14-00185