ATP受容体の生理機能,特に痛みに関する神経薬理学的研究

「はじめに」ATP受容体は, イオンチャネル型受容体(P2X)とGタンパク質共役型受容体(P2Y)に大別される. 現在, サブタイプがそれぞれ7種類(P2X1-P2X7)及び8種類(P2Y1, P2Y2, P2Y4, P2Y6, P2Y11-P2Y14)が報告されている. 生体のあらゆる部位になんらかのサブタイプが発現しており, このような発現の普遍性は他の受容体に例を見ない. P2X受容体は, 非選択的カチオンチャネルであり, その構造は細胞膜2回貫通型のサブユニット(約400-600アミノ酸残基)が3分子会合してイオンチャネルを形成している. P2X受容体はすべて細胞外ATPにより活性化さ...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 133; no. 10; pp. 1035 - 1039
Main Author 井上, 和秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.10.2013
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.13-00191

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Summary:「はじめに」ATP受容体は, イオンチャネル型受容体(P2X)とGタンパク質共役型受容体(P2Y)に大別される. 現在, サブタイプがそれぞれ7種類(P2X1-P2X7)及び8種類(P2Y1, P2Y2, P2Y4, P2Y6, P2Y11-P2Y14)が報告されている. 生体のあらゆる部位になんらかのサブタイプが発現しており, このような発現の普遍性は他の受容体に例を見ない. P2X受容体は, 非選択的カチオンチャネルであり, その構造は細胞膜2回貫通型のサブユニット(約400-600アミノ酸残基)が3分子会合してイオンチャネルを形成している. P2X受容体はすべて細胞外ATPにより活性化され, EC50は1-10μM程度である. ただし, P2X7の真のアゴニストはATP4-でありEC50は数10nM程度である. 通常の生理的条件では高濃度の二価金属イオンの存在故に数10nMのATP4-を得るには数mMのATPが必要である.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.13-00191